群島の小国オランは海上貿易によって栄えた国。

近くに大国グランデイアがあり、その庇護の元発展した。

島々を巡る商船にとっても重要な拠点だ。

だが、数多く通う商船を目当てに海賊が出没した。
当たり一円の海賊を束ねるバラクーダの海賊船だ。
難所の続く狭い海峡のどこからか現れては強奪と殺掠をくりかえす。

その悪行ぶりに航路の閉鎖まで考えねばならなくなった。

しかし、オランの探査船はバラクーダのアジトの島を見つけ出し
グランデア軍とともにバラクーダ達を殲滅させた。
兵を率いたのは若きオルフェ王子。
そして、オランの女兵士トパーズの活躍も
その要因であった。

こうして再び平和がおとずれた。
そして両国民が待ち望んだ出来事も。
戦勝祝いの舞踏会で、オルフェがオランの姫オーロラを見初めたのだ。

二人の婚姻は両国のますますの繁栄を約束するもの。
人々はそう思ったのだ。

オルフェ王子との婚約の日を迎え、出航するオーロラ姫の一行。

中間の島で互いの船が出逢い、2艘の船でグランデイアへと凱旋するのである。

やがて予定より早く合流地点に着いたが、まだ王子の船は見えない。
そこは、比較的大きな島で、海路の目印ともなっている。
人は住んでいない。当たりを絶壁に囲まれた島は、船をつける場所すらないのだ。


一行はそこで碇を降ろし、すでに式の準備が始まっていた。

準備に忙しいトパーズだったが、オーロラ姫からの呼び出しに船室へと向かった。

「およびですか姫様」

オーロラ姫は、新しいドレスに着替え、王子の到着を待っている。
侍女のマリイとメイドのコニーが微笑んで出迎えた。

「まだそんな格好をしているのですか?相手に失礼があってはいけません・・」

入ってきたトパーズに、オーロラ姫がめずらしく顔をしかめた。

「・・トパーズ様!ささ・・・お着替えを、」

メイドのコニーが、気を利かせてトパーズを別の部屋に誘った。
オーロラ姫はそれを呼び止めると・・

「トパーズ。あなたも女なのですから。客人の前ではそうとうのかっこうをなさい・・」

そういうと、にっこり微笑んだ。
王子との婚姻、新しい国での生活のことで頭がいっぱいだろうに・・。
わたしにまで気を使ってくださる。
トパーズは姫のそんな心遣いが嬉しかった。

「かしこまりました姫。おおせのとおりに・・」

トパーズはうやうやしく頭を下げるとコニーに連れられて部屋を出た。
その姿に、オーロラも、マリイも顔をほころばせた。

「ほんとにあいかわらずなのね・・」

そういうと、マリイに顔を向け・・。

「あなたにも苦労をかけました・・。ぜひよい伴侶をみつけられるよう、
父上にももうしあげておきました」

「・・姫様」

マリイはそれ以上の言葉が出なかった。ここまでよい姫に仕えられた自分が幸せだった。

船上は、お迎えの準備に追われていた。トパーズ配下の警備兵達までも、飾り付けに追わ
れていた。

海賊達はもういない、この海に平和が戻ったのだ。
兵士達もまた幸せの中にいた。
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