ネイロスの3戦姫


第6話その.5 獣姦の地獄  

 「あ・・・あわわ・・・殿下・・・」
 突然現れたセルドックに、娘は顔面蒼白になる。
 「てめえ何者だ?ここで何してやがる・・・」
 見なれない男が拷問室に闖入している事を知り、セルドックは眉を吊り上げた。
 「きさま・・・よくも姫様を・・・」
 ふてぶてしいセルドックの顔を見るなり、怒りを露にするライオネット。
 そんなライオネットを見ながら、セルドックは傍らの警備兵をジロリと睨んだ。
 「おい、お前さっき誰もいませんでしたとか言ってたよな・・・これはどー言う事だ、
ええ?」
 「あのー、そう言う殿下こそ、さっき俺様の宮殿に乗り込んでくるような度胸のあるコ
ソドロがいるわけねえっておっしゃってたような・・・」
 「じゃあかあしいっ!!さっさと捕まえろっ!!」
 「へ、へ〜い。」
 セルドックに怒鳴られた警備兵がライオネット達に歩み寄る。
 「ガウウ・・・」
 警備兵の前に現れたアルバートが、唸り声を上げて警備兵を威嚇した。
 「なんだあ?この犬ッコロは。」
 アルバートを只の犬と思いこんだ警備兵は、警戒心すら見せずにアルバートに近寄った。
 「ヴオオンッ!!」
 牙をむいたアルバートは、ものすごい勢いで警備兵に飛びかかった。
 「ぎゃあっ、いででっ!!」
 アルバートに腕を噛まれた警備兵が悲鳴を上げた。
 「なにやってんだっ、そんな野良犬さっさとかたずけろっ!!」
 罵声を上げるセルドックに、ライオネットが怒りの拳を振り上げて突進してきた。
 「クタバレッ、このチビ助めーっ!!」
 今まで見せた事も無い怒りの表情で迫るライオネット。
 「ひっ!?」
 怯むセルドックの背後から鋭い鞭が飛び、ライオネットを直撃した。
 「うあっ。」
 床に倒れ伏すライオネットを、2人の女が見据えている。
 「大丈夫ですか殿下。」
 セルドックの背後、拷問室の入り口から入ってきたその2人の女は、女狂戦士のギルベ
ロとラーガであった。
 「おお、お前達。いいところに来てくれたな。」
 「いえ、近くを通りかかっただけですがね。」
 そう言ったラーガは、手に持った投網を抱え警備兵と格闘しているアルバートに向き直
った。
 「ふんっ。」
 ラーガが投げた投網は、警備兵の腕に噛みついているアルバートを捉えた。
 「ヴアッ!?ギャウ・・・」
 投網に絡め取られたアルバートは、身動きが出来なくなり網の中でジタバタもがいた。
 「このクソ犬めっ!!」
 血だらけの腕を押さえ、動けないアルバートを憎々しげに蹴り飛ばす警備兵。
 「殿下、こんな奴が拷問室の前でウロウロしてましたよ。どうします?」
 ギルベロはそう言うと、1人の召使いの首根っこを掴んでセルドックの前に投げ出した。
 「あうっ。」
 床に投げ出された召使いの顔を見るなり、ライオネットと鳥カゴに囚われていた娘が血
相を変えた。
 「き、君は・・・」
 「あなたはマリオンッ!!」
 なんとそれは、ライオネットの道案内をしたマリオンであった。
 「帰ってなかったのか。」
 「ごめんなさい・・・心配だったから・・・」
 ライオネットの問いに、マリオンは申し訳なさそうに呟いた。
 「マリオンッ、どうしてここに・・・」
 マリオンに駆け寄る娘。マリオンはその顔を見て驚いた。
 「パメラ・・・あなたこそどうして・・・」
 どうやら2人は知り合いであるようだ。
 互いに抱き合って震えているマリオンと鳥カゴに囚われていた娘パメラは、凶悪な目で
見据えるセルドックに恐怖している。
 「あーん?なんだこいつら、恋人同士か?」
 男装しているマリオンを見て頭をボリボリ掻くセルドック。
 「そうじゃないみたいですね殿下。こいつはれっきとした女ですよ。」
 そう言うなり、ギルベロはマリオンの胸元を掴み、上着を引き裂いた。
 「きゃあっ!!」
 上着が飛び散り、マリオンの乳房が露になる。慌てて胸を隠すマリオンに、セルドック
が薄気味悪い目で近寄った。
 「てめえ、このメガネ男とグルか?何しに来やがった、ああん?」
 「あう・・・あたしは・・・」
 声も出せないほど怯えているマリオン。
 「チッ、おいラーガ、口を割らせろ。」
 「了解ですよ。」
 命令されたラーガは、マリオンの腕を抱えて捩じ上げた。
 「ひいっ、痛い、いたあーいっ!!」
 細腕がメキメキと悲鳴を上げる。
 「言いな小娘っ、ここに何しに来たんだっ?あのメガネ男は何者だい!?」
 「いい、言いますぅ・・・あたしはその人を案内しただけです・・・その人はネイロス
の軍事参謀で・・・エスメラルダ姫を助けに来てるんですぅ・・・ゆ、ゆるしてえ・・・」
 泣きながら全てを喋るマリオン。
 「と、言う訳だそうです殿下。」
 マリオンを投げ出したラーガは、相棒の傍らに戻った。
 「ふーん・・・エスメラルダをねえ。飛んで火にいる夏の虫ってのは、てめえの事だな
クソメガネ。」
 「誰がクソメガネだよ・・・お前こそクソ軟弱チビじゃないか・・・」
 鞭で打たれた激痛に耐えながら、ライオネットはそう呟いた。
 「ぬあにいい〜っ!!てめえ・・・俺様を軟弱チビと言いやがったなっ。しかもクソま
でつけやがってーっ!!」
 セルドックの頭からブチッと(キレる)音が・・・
 「俺様をコケにしたらどーなるか、思い知れーっ!!」
 先ほど鎖を切るために使っていたハンマーを手に取り、床に倒れているライオネットを
殴り据えるセルドック。
 「あぐっ、うあ・・・」
 「おらーっ、観念しやがれクソメガネ野郎っ!!」
 荒れ狂うセルドックに、マリオンとパメラ、そしてうずくまっていたエスメラルダもガ
タガタと震えている。
 「手がつけられないね、どーするラーガ。」
 「ほっとこう、サド殿下の相手をしてたら切りが無いよ。」
 呆れた顔の2人は、ひとまずその場を退散した。
 「ハアハア・・・どーだ、参ったかメガネ野郎・・・」
 血だらけになって倒れているライオネットの顔にペッと唾を吐くセルドック。
 「う、うう・・・」
 呻き声を上げ、動けなくなっているライオネットにマリオンが泣きながら歩み寄った。
 「ご、ごめんなさい・・・あたしのせいで・・・」
 「い、いいよ・・・どうせ・・・バレるのは判ってたから・・・」
 泣いているマリオンを見て少しだけ笑ったライオネットは、激痛に堪えズルズルと這い
ずりながらエスメラルダに近寄った。
 「ひ、ひめさま・・・今お助けします・・・」
 血塗れのライオネットを見たエスメラルダの心に、何かが過った。それはいつもドジば
かりやっている優しいライオネットの顔であった。
 「らい、おねっと・・・?」
 エスメラルダの口から、ライオネットの名前が漏れる。
 「ひ、姫様・・・思い出してくれたんですねっ?私の事を・・・」
 ライオネットの目に涙が流れた。そして必死になって愛するエスメラルダの元に這い寄
る。
 「らいおねっとおっ!!」
 叫んだエスメラルダは、ライオネットの元に駆け寄ろうとする。だが、彼女を拘束して
いる首輪の鎖によって動きを封じられた。
 「あうーっ、らいおねっとーっ!!」
 「姫様ーっ!!」
 叫ぶ2人を、セルドックと警備兵が引き裂く。
 「へへ〜、そこまでだぜ〜っ。」
 「大人しくしろメガネ野郎っ。」
 ライオネットを取り押さえた警備兵は、縄でライオネットを縛り上げ、投網で動けなく
なっているアルバートの横に転がした。
 「ううっ、き、貴様等ーっ!!姫様を自由にしろーっ!!」
 喚くライオネットを、セルドックと警備兵はニヤニヤ笑いながら見ている。
 「ヒヒ・・・まだそんな事ほざいてられるのか?よっぽどエスメラルダに惚れ込んでる
みてーだな。いいだろう、てめえのクソ根性に敬意を表してエスメラルダの最高に恥かし
い姿を拝ませてやるぜ〜。」
 そう言うセルドックの手に、軟膏を入れたガラスの入れ物があった。
 「な、何をするつもりだ・・・」
 先ほどセルドック達がエスメラルダを陵辱するのに(あれ)と言っていた事を思いだし、
不安に駆られた。
 「ふふん、そいつは見てのお楽しみだぜ。」
 セルドックは警備兵の方に目を向けた。
 「準備はいいか?」
 「ちょっとまってくださいよ。今、小娘どもの準備中で・・・」
 警備兵はそう言いながらパメラとマリオンの手を縄で縛っている。
 「なにするのっ!?触らないでっ!!」
 「騒ぐんじゃねーよっ、おらっ。」
 怒鳴りながらパメラの尻を蹴り飛ばす警備兵。全裸のパメラがエスメラルダの傍らに転
がっていく。
 「次はお前だ。」
 「や、やめて・・・」
 怯えるマリオンを抱えた警備兵は、床に転がっている2人のそばにマリオンを投げ飛ば
す。
 「服を着てたら意味ねーじゃねーか。」
 セルドックは震えるマリオンの服を掴んでビリビリ破り始めた。
 「なにするのっ、いやっ。」
 叫ぶマリオンは、服を全て奪われ丸裸にされてしまった。
 「両手を前につけ。そうだ犬みてーに這いつくばれ。」
 そして警備兵は3人を四つんばいになるよう強制する。
 「軍用犬が3匹、メス犬も3匹・・・ちょうどいいな。」
 全裸の3人を見ながら、セルドックはヨダレを垂らした。そしてガラスビンを手でポン
ポンと上げながらライオネットに向き直る。
 「おい、クソメガネ。これが何かわかるか?こいつはな犬専用の性的興奮剤なんだよ。
オス犬がこいつの臭いを嗅いだら盛り狂って見境無しになるんだ。相手がメス犬だろーが、
何だろーが穴さえあればぶち込みまくるのさ、グヒヒ・・・」
 「まさか・・・」
 邪悪に笑うセルドックの考えている事を理解し、真っ青になるライオネット。
 そう、セルドックは連れて来た軍用犬を使ってエスメラルダ達を獣姦するつもりなのだ。
 「こいつをてめえの大好きなお姫様の尻に塗ったらどうなるかなぁ〜。」
 「や、やめろーっ!!そんな事したら・・・お前を絶対にゆるさないぞっ、このクソチ
ビッ、どチビッ、軟弱チビーッ!!」
 「クソメガネがっ、好きなだけ吠えてろっ。」
 喚くライオネットの顔を蹴り飛ばすセルドック。それによってライオネットのビン底メ
ガネが吹っ飛んだ。
 「ヘッ、ざまーみやがれ。」
 セルドックは勝ち誇った様に笑った。そして指でガラスビンの中身をすくい取ると、エ
スメラルダ達の尻に塗った。
 「さあ、覚悟はいいか・・・」
 連れて来た軍用犬を前に出すセルドック。
 「ひいっ!?あわわ・・・」
 「おねがい・・・やめて・・・」
 「あう、あああ・・・」
 軍用犬の鋭い眼光を浴び、恐怖の絶頂に達する3人。
 軍事目的に訓練されたその軍用犬は、黒い屈強な身体に凶悪な面構えを備えた狂犬であ
る。いや、狂犬と言うより残虐な狂獣と言った方がいいだろう。
 「グルル・・・」
 牙をむき、唸り声を上げる3頭の軍用犬。その目は性的興奮剤の臭いを嗅ぎつけ猛り狂
っている。
 「やめてくれーっ!!やめろーっ!!」
 「ん〜ふふ・・・いいざまだ、胸がスーッとするぜ。」
 ライオネットは声の限りに叫んだ。だが、サディストのセルドックの耳には心地よい響
きとなった。
 「さあ、あのメス犬どもを思う存分可愛がってやれっ!!」
 セルドックの命令一過、3頭の狂獣が四つん這いになっている3人に襲いかかった。
 「ガウオンッ!!」
 雄叫びを上げ、突き出された尻に怒張した性器をねじ込む軍用犬達。
 「きゃああ、うっ!!ひいいっ!!」
 「いやあっ!!」
 3人の悲鳴が辺りにこだまする。
 狂った様に腰を振る3頭の軍用犬は、悶え苦しむエスメラルダ達を容赦無く攻め立てた。
 「いいぞぉ、もっとやれーっ。」
 興奮した表情で見ているセルドックと警備兵が歓喜の声を上げる。
 いくら逃げようと足掻いても、両腕を縛られ動けなくされている非力な3人に狂獣の責
め苦から逃れる術は無かった。
 狂ったケダモノに犯される恥辱と恐怖に3人は、ただ泣き叫ぶしか出来なかった。
 「うわああっ・・・ひめさまーっ!!」
 ライオネットは絶叫した。愛するエスメラルダが陵辱されているのに自分は何も出来な
い・・・自由を奪われているライオネットは、余りの悔しさに両足を激しく床に叩きつけ
た。
 唯一の慰めは、彼のビン底メガネが外れている事により、エスメラルダの陵辱されてい
る姿を見ないですむ事であった。
 近眼のライオネットの目には、ぼんやりとしかエスメラルダの姿が映らない。
 「うう、姫様・・・」
 セルドックに痛めつけられた影響で、ライオネットの意識が混濁していく。
 姫様を助けるんだ・・・
 心の叫びがライオネットの胸にこだまする。そして眼前が急激に暗くなった。
 「ひめさま・・・えすめら・・・エスメラルダひめさまーっ!!」
 最後の力を振り絞ってエスメラルダの名前を叫んだライオネットはガックリと気を失っ
た。
 「ら、らいおねっと!?、いやあーっ!!」
 倒れ伏したライオネットを見たエスメラルダは、悲痛な叫びを上げて泣いた。
 「グワオオ〜ンッ!!」
 背後の狂獣は、泣き叫ぶエスメラルダに嬉々とした声を上げる。そして休む事無く腰を
振り、激しく攻め立てた。
 それはマリオンとパメラを責めている軍用犬達も同様だった。 「グオ〜ンッ!!」
 軍用犬達は牙の並んだ口を大きく開け吠えた。そして3人の中におぞましい精液を放出
した。
 「あう、あああ・・・」
 3人とも、狂おしい責め苦に耐え兼ね、バタバタと床に崩れ落ちる。
 「ヒヒッ、3人ともオネンネしやがった。」
 「いいざまだぜっ、ざまーみろってんだ。ギャハハ〜ッ!!」
 気を失っているエスメラルダ達とライオネットを見てセルドックと警備兵は下品な声を
上げて笑った。
 「うぉん・・・うぉんっ!!」
 嘲り笑うセルドック達に激しい怒りを向けるアルバ−ト。だが、投網で自由を奪われて
いる彼も、地団駄を踏んで悔しがるしかなかった・・・
 
 同じ頃、愛する人を陵辱され、怒りを露にしている人物がいた。
 「貴様等・・・許さんぞ・・・よくも、よくも我が君をっ!!」
 マグネアが陵辱されていた部屋に、ブルーザーの刺客を返り討ちにしてダルゴネオスの
宮殿に戻ってきたヒムロの姿があった。
 「あわわ・・・ゆ、ゆるして、ぎゃっ!!」
 マグネアを犯していた黒獣兵団の兵が、1人残らずヒムロに倒され床の上に転がった。
 「おお、我が君・・・」
 部屋の中に全裸で横たわっているマグネアのそばに駆け寄るヒムロ。
 「あうう・・・いい・・・うああ・・・」
 マグネアは如何わしい薬物を飲まされ、全身を痙攣させていた。
 「お許しを我が君・・・拙者がもっと早く気が付いていれば・・・」
 涙ながらにマグネアを抱き起こした。
 「ああ・・・ひむ、ろ・・・かえってくれたのね・・・いとしい・・・ひむろ・・・」
 マグネアはヒムロの顔を見るなり嬉しそうに呟き、気を失った。
 「我が君っ、我が君っ・・・う・・・うわああーっ!!」
 ヒムロの悲しき慟哭が辺りを揺るがした。
 ダルゴネオスとブルーザー、そしてセルドックによって愛する人を陵辱されたヒムロと
ライオネットの叫びが、暗黒の夜に吸い込まれていった。





第7話に続く

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