魔戦姫伝説(アンジェラ・閃光の魔戦姫18)


  第81話 女神の慈悲を唾棄する愚かな暴君
原作者えのきさん

 悪霊達を振り切り、半狂乱で走り回るグリードルは、(敵)を探して喚き散らした。
 「うがああ〜っ!!出て来いアリエルめ〜っ!!俺と勝負しろ〜っ!!テメエを犯して
やるぜ〜っ!!ヒイヒイ言わせてやるぜ〜っ!!俺が怖いのか臆病者っ!?さっさと面見
せろーっ!!」
 狂った暴君の頭には、アリエル姫を敗北させ、徹底的に屈伏させる事しかない。勝利の
二文字のみに固執し続けた彼は、許しを乞う事も、媚びる事も、悔いる事もしない。
 さながら悪鬼の如き形相で吠えるグリードルだったが、いくら喚いても(敵)は現れな
い。
 やがて、吠え狂う暴君に恐れをなしたか、悪霊達も姿を消した。静寂の中で、グリード
ルは我に返った。
 「はあは・・・あ・・・フッ、悪霊どもまで失せたか。所詮はお姫さまよ、俺と真正面
から勝負する度胸もねえ。フッ、フハハッ、ワハハ〜ッ!!」
 乾いた笑いを上げる・・・が、それはすぐに叫びに変わる。
 四方八方からタールのような汚泥がドロドロと押し寄せ、グリードルの足元を埋めつく
した。そして汚泥の中から、無数の亡者達が這い出てきたのだ。
 
 ---オ〜ン・・・オオ〜ン・・・
 
 薄気味悪い声を発し、亡者達はワラワラとグリードルにまとわりついてきた。
 「くそっ、寄るンじゃねえっ。このバケモノどもがっ!!」
 いくら振り払っても、亡者は涌くが如く汚泥から出てくる。やがて亡者に掴まったグリ
ードルは、汚泥の中へと引きずり込まれた。
 「うわわっ、や、やめろっ。なにしやが、がぶぶ・・・」
 泥に飲み込まれるグリードルだったが、そんな彼の目に、一筋の光が飛び込んできた。
 「うぐぐ・・・あ、あれは・・・」
 上から差し込む光は、まるで天空の光の如く暗闇を照らしている。その光の中に、何か
が揺らめいていた。
 それは細い糸だった。天使の髪のように美しく光り輝いている糸は、地獄の亡者達を救
うべく上空から降りてきたのだ。
 無数の亡者達は、我先に糸に縋り付く。それを見逃すグリードルではなかった。
 「どけどけテメエら〜っ!!その糸は俺のもんだ〜っ!!」
 亡者達を蹴飛ばしたグリードルは、糸を掴んで光溢れる上空へと這い上がっていく。
 下を見れば、無数の亡者が糸を登ってくる。それを見てニヤリと笑うグリードル。
 「フッ、あばよバケモノども。」
 無情にも、手元の糸を引きちぎって亡者達を奈落に蹴落とす。そして哀れな声を上げて
堕ちる亡者達を嘲笑った。
 「ふはは〜っ、バカめが〜。俺は生きてやるぜ〜っ。地獄からでも這い上がってみせる
ぜ〜っ!?」
 悪しき暴君は、飽くなき生への執念を燃やし、上空を目指した。本当の地獄は、目指す
上空にあるとも知らずに・・・
 気の遠くなるような高さを上り、やがてグリードルは天の縁に達した。
 「はあはあ・・・助かったぜ〜。」
 周囲を見回すと、そこは花の咲き乱れる(天国?)だった。
 そして花を踏みしめて歩むグリードルの前に、燦然と光り輝く人物が現れる。
 それは・・・美しい女神だった・・・
 金色のロングヘアーとドレスをなびかせ、静々とグリードルの前に立つ女神さま・・・
 だが、その顔は憂いに満ちていた。悲しく沈んでいた。
 唖然としていたグリードルは、薄笑いを浮かべて女神に歩み寄る。
 「へへっ、女神さまのお出迎えとは恐れ入ったぜ、まさか俺を助けてくれるとはな。テ
メエはなんて名前の女神さまだ?」
 感謝の意すらない暴君は、居丈高に女神に問う。
 すると女神は答えた。
 「・・・我が名はアンジェラ、ノクターン王国の守護神なり。」
 聖なるその声は、グリードルの心に威をもたらした。
 「なにぃ〜、アンジェラだと?ノクターンの伝説に出てくる戦女神か!?」
 ノクターン王国の守護神となれば、敵国ガルダーンの帝は仇敵となる。暴君の目がギラ
リと光った。
 「敵の帝を助けて何するつもりだ、俺に恩を着せようってか?ふざけ・・・うっ!?」
 グリードルの顔が硬直する。女神は悲しく、そして厳格な眼で問い詰めてきたのだ。
 「・・・グリードル。あなたはどうして可哀そうな亡者達を蹴落としたのです?そこま
でして助かりたかったのですか?あなたが亡者を助けたなら、今までの罪を許してあげま
したのに。」
 聖人然とした口調の女神を見て、グリードルはゲラゲラと笑いだした。
 「わははっ!!何を言うかと思えばそんな事かっ。俺がクソ亡者を助けるとでも思った
か〜?甘いぜ女神さまよお〜。クソ亡者を助けたきゃ、自分で助けに行くこったな。イヤ
なら俺が亡者の所に蹴落としてやろうか?」
 「蹴落とす?この私をですか・・・どうやってですか。」
 「決まってるじゃねーか。テメエを犯って堕とすんだよ〜っ!!」
 吠えるや否や、服を脱いで凶悪に怒張するイチモツを突き付けるグリードル。
 まさに獣・・・血も涙もない、欲望に狂ったケダモノだった。そして獣の暴君は女神に
襲いかかり、ドレスの胸元を引き裂いた。
 「ぐへへ〜、女神さまを犯れるとは最高だぜ〜。さあ、どーやって堕としてやろうか〜?
」
 豊満な乳房を揉み、邪笑いを浮かべるグリードル。そして手を女神の股間に這わせ、ド
ロワーズの上から秘部をいじった。
 されるがままの女神だったが、その顔に苦悶の表情はない。ただ・・・深い悲しみを浮
かべているだけだ。
 だが、グリードルの目に女神の悲しき表情は見えていない。無抵抗の女神を汚す事しか
眼中にないのだ。
 脚線美も神々しい女神の足を広げ、余りにも汚れない秘部に邪悪なイチモツをねじ込ん
だ。
 「くう〜、こいつは締まるぜっ。最高じゃねえか、女神さまのアソコはよお〜。」
 腰を激しく動かすグリードルに、冷たい視線が突き刺さる。それを見て目を吊り上げる
グリードル。
 「なぁんだ、その目は〜!?なんか文句でもあんのかよ。」
 喚くグリードルだったが、女神の言い放った言葉が、彼を窮地に追い込む。
 「・・・こうやって、我が母も汚したのですね?」
 「あん?それはどーゆー意味・・・なんだってえっ!?」
 驚愕したグリードルは飛び退く。その股間は一瞬で萎縮し、顔は恐怖で引きつる。
 「ま、まさか・・・テメエは・・・あ、アリ・・・」
 その女神の麗しき裸体、それに見覚えがある・・・そして・・・母も汚したとの言葉・・
・
 女神は顔を隠していたマスクを取り、驚愕の素顔を晒したっ!!
 「その通りですわ、グリードル。私はあなたを最も恨む者ですわっ!!」
 仮面の下から現れたアリエル姫の、恐ろしく、そして余りにも美しき素顔・・・
 恐怖をもたらす眼光がグリードルの覇気を奪い、圧倒的な美しさが暴君のプライドを粉
々に打ち砕く。
 「う・・・美しい・・・うつくしい!?お、俺、何言ってンだ・・・?」
 グリードルの全身に戦慄が走り、力が抜ける。そして暴君はガクガクと膝を震わせて跪
いた。




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