魔戦姫伝説(アンジェラ・閃光の魔戦姫15)


  第69話 魔神の素顔が恐怖を呼ぶ。悪党どもに明日はない。
原作者えのきさん

 怨念の鎧を身に纏った(魔神)は、残虐なる鉄仮面の口を開いて処刑宣告を述べた。
 「アントニウス、ブレイズ。今こそ恨みを晴らしてやりますわっ、大人しく地獄に逝き
なさいっ!!」
 叫んだ(魔神)・・・処刑人は、大きなハレンチ像を片手で持ち上げ、そして空高く放
り投げた。それが隕石のように、真っ直ぐアントニウス達の眼前に落下したのだ。
 愚か者どもは、極限の恐怖に苛まれ、動けないまま処刑人を見つめた。
 「あ、あひひっ。あ、あ、あんただれ?」
 その問いに、処刑人は恐怖の笑顔を浮かべる。
 「あら、あんた誰とはお笑いですわね。あなた達に恨みを抱く女を忘れるだなんて・・・
」
 恨みを抱く女と言われ、アントニウスとブレイズは顔を見合わせた。
 「ね、ねえアントニウス君。あちきらを恨んでる女って、誰でやんしょ?」
 「さ、さあ〜。いっぱい居過ぎてわかんないっすよ〜(大汗)。」
 数々の凌辱に手を染めた彼等は、凌辱した女の事までいちいち覚えてはいなかった。し
かし凌辱したのと同じ数の恨みを買っているのも事実だ。
 正体不明の処刑人は、怒りの炎を燃え上がらせて2人を睨んだ。
 「じゃあ、思い出させてあげますわっ!!」
 処刑人の鉄拳が、ハレンチな像を叩き壊す。無数に乱立する像が木っ端みじんに砕かれ、
大量の残骸が飛び散る。
 悲鳴を上げたブレイズの弟子達が逃げようとするも、爆砕する残骸の直撃を浴び吹っ飛
ばされる。
 それはまさに憎悪のトルネードだった。処刑人は凄まじい恨みの嵐を巻き起こす。自身
の恐ろしさをアントニウス達に思い知らせるが如く・・・
 舞い上がる砂塵の中から、アントニウス達の前に歩み寄る処刑人。
 
 ---コーホー、コーホー・・・
 
 威圧的な黒い鉄仮面の下から、無機質な呼吸音が響き、それが小悪党達へ更に恐怖をも
たらした。
 冷酷なスマイルは、悪党を処刑する時の笑いなのだ!!
 「さあ、どちらから処刑してほしいかしら?」
 逃げ場のない2人は、卑屈さも露に土下座して命乞いする。
 「ひ、ひええ〜いっ。どうか許してほしいでやんす〜っ。あ、あ、あんたに何をしたか
忘れたけど〜、と、とりあえず許してでやんすよおおお〜っ。」
 「ご、ごめんなさい、ごめんなさ〜いっ。ぼ、ぼくは悪くないよお〜っ。帝さまに命令
されてただけだよお〜っ。ぼくはただの振付師だよおお〜っ。」
 泣き喚く2人を、処刑人は侮蔑の目で見据えた。
 「愚かな・・・いまさら謝って済むとでも思っていますの?どれだけ贖罪しても足りま
せんわよっ!!」
 叫んだ処刑人は、ブレイズを掴んで投げ飛ばす。ブレイズの転がった先には、大量のハ
レンチ像があった。
 自身の造ったアリエル姫凌辱の像に囲まれ、変態芸術家はオロオロと怯えた。
 「は、はわわ・・・あちきに何をするでやんすか・・・」
 「しれた事ですわ。ハレンチ像を造るのが好きなら、それに囲まれて逝くのが良いでし
ょう。でやああっ!!」
 掛け声と共に像を持ち上げ、ブレイズの周囲に積み上げた。
 不安定に積まれた像が、容赦なくブレイズにのしかかる。極めて重い像を支えねばなら
なくなったブレイズは、身動きがとれなくなって泣き叫んだ。
 「ひいい〜っ、お、重いでやんす〜っ。た、助けてでやんす〜。あ、あああ〜っ!!」
 像がゆっくり傾き、手足が潰される。喘ぐアリエル像の顔が迫り、超重圧の抱擁で抱き
しめられた。
 「あひ〜んっ!!痛いでやんすよおお〜っ(涙)。」
 身体を徐々に押しつぶされる恐怖によって悲鳴をあげる。しかし変態芸術家を助ける気
など処刑人にはない。
 哀れ像の下敷きとなり、泣き叫ぶブレイズに背を向け、今度はアントニウスに矛先を向
ける処刑人・・・
 「私が誰か、まだわかりませんか?卑劣な振付師アントニウス・・・裏切り者アントニ
ウスッ!!」
 言い迫られても、アントニウスは処刑人の正体がわからない。
 「あひひ・・・わからないよおおお〜。だ、だれなのさああ〜。」
 「フッ、じゃあ特別に教えてあげますわ。目に焼き付けるのよ、あなたを恨む者の素顔
をっ!!」
 処刑人は憎悪の鉄仮面を開けた。
 そこには・・・余りにも恐ろしく、そして余りにも美しい復讐者の素顔があった!!
 「ひいいーっ!!あ、あ、あんたはああ〜っ!?ひ、ひめさ・・・ひぃええーっ!!」
 究極絶対の恐怖を叩きつけられ、アントニウスは絶叫した。その恐ろしい素顔・・・ま
さに悪夢!!
 「さあ、あなたにも味わってもらいますわ。私が味わった地獄の苦痛と恥辱をね・・・」
 アントニウスの首根っこを片手で掴み、ノラ猫のように持ち上げた処刑人は、怯えるア
ントニウスの衣服を爪で切り裂いた。
 「まあ、あなたの根性と一緒で、下のモノも小さいですわね。」
 「うわ〜んっ、なにすんだよエッチ〜ッ!!」
 笑いたくなるほど矮小で短小な包茎のイチモツを丸出しにされ、泣き喚く小悪党を見て、
処刑人は首を掴む手に力を入れる。
 「フフフ・・・さあ、どうやって殺して欲しいかしら?頭を潰してあげましょうか?背
骨を真っ二つにしてあげようかしら・・・ううん、そう楽に殺しては私の気が済みません
わ。たっぷりと苦しみ抜いてもらわないとね、クックック・・・」
 そう言うなり、アントニウスの手をギュッと握った。
 ボキボキと嫌な音が響き、指の骨が粉砕されてしまう。
 「ひいいっ!!ゆ、指が〜っ、指が〜っ!!」
 「指ぐらいなんですの、私は手足の自由を全て奪われてたのですわ。」
 指を粉砕した手が、今度は豆粒のようなタマを鷲掴みにする。
 「ほーらほら、プチッと潰してあげますわよ☆」
 「んわ〜っ!!、そ、そ、それだけはやめてっ、て・・・のおっ、そんなに揉んだら、
き、気持ちよ過ぎ〜っ♪」
 股間を責められ、矮小なイチモツが強制的に勃起させられる。(でも小さいから勃って
も変り映えがない。)
 そして悶え悦んでいたアントニウスの顔が、狂おしい快感に震える。
 「うはっ、はあうう〜っ!?」
 絶頂の悶え声と共に、大量の精液がイチモツから迸った。だが、それは連続して噴出す
る。まるで身体中の精気が吹き出るかの如く。
 「んあああっ〜、と、とまんないよお〜。」
 「股間に呪いをかけましたわ、そのまま精気が全て尽きるまで射精し続けるのよ。そし
て呪いはもう一つ!!」
 処刑人は呪文を唱えた。そして鋭い指先が額を打ち、アントニウスは吹っ飛ばされる。
 射精しながら転がるアントニウスの体から、全ての自由が奪われた。
 「あひっ!?踊っちゃう!?踊りたくないのに踊っちゃうよおおお〜っ。」
 アリエル姫や女の子を凌辱するのに使った(自在香)よりも、遥かに強力な呪術が施さ
れ、アントニウスは卑猥な舞いを強制的に踊らされた。
 股間から精液を迸らせ、フリチンで恥ずかしく踊る・・・この辱めは、矮小なプライド
に縋る小悪党を極限まで追い詰めた。
 「うわ〜んっ、こんなのやだ〜っ。恥ずかしすぎるよお〜っ、もう許してよおお〜っ。」
 泣きながら恥ずかしく踊るアントニウスを見て、アンジェラは侮蔑の言葉を手向ける。
 「フッ、その無様な姿こそ、裏切り者に相応しい姿ですわ・・・もっと踊りなさい、体
が朽ち果てるまで、魂が砕け散るまで踊り続けなさいっ!!」
 それが断罪の求刑であった。こうして卑劣な裏切り者アントニウスは、己が罪によって
地獄行き決定となった・・・
 先に求刑を受けたブレイズも、アリエル姫凌辱像に挟まれ、無様なオブジェとなって泣
き喚いていた。
 「びえ〜んっ、ここから出してでやんす。あ、アントニウスくーん、助けてでやんす〜。
」
 「あひ〜っ、ブレイズさ〜んっ。ボクを止めて〜、は、早く止めて〜。誰か助けて〜っ。
」
 小悪党の命乞いを疎ましく聞いた処刑人は、ハイパードライブで2人を瞬間移動させる。
 「その無様な姿、大勢のギャラリーに見てもらいなさい。」
 指をパチンと鳴らすと、2人の姿が一瞬で消えた。2人がどこへ行ったのか、それは処
刑人のみぞ知る。 
 アンジェラは、無情の動作で踵を返し、次の極刑確定者へと足を進める。
 「ズィルク・・・狡猾なる悪の手先・・・その邪悪な頭脳もろとも、地獄に蹴堕として
あげますわ・・・」
 歩む狂気の復讐者は、周りの状況など構う様子はない。残虐に変化した鎧から、悲痛な
声が漏れる。
 (・・・ひめさま・・・正気に戻ってください・・・ああ・・・あかん・・・うちには・
・・止められへん・・・)
 不意に、アンジェラの背後から瓦礫の崩れる音が響く。
 その瓦礫の下から、レイラとキャスリーン、そして凌辱された女の子達が姿を見せる。
彼女達を守るかのように、周囲を不可視のバリアが覆っていた。
 囚われの女の子達は、恐ろしい復讐者の後ろ姿を目撃した。だが、その中の一人。ブレ
イズの凌辱モデルにされていた美少女は呟く。
 「あの人・・・悲しそうですわ・・・悲しく泣いてますわ・・・」
 レイラとキャスリーンは、美少女の声に我に返る。
 「あの人は・・・ああ、私達を助けてくれたの・・・?」
 凌辱された者達は、悲しきアンジェラの心を察した。
 去り行くアンジェラの姿は余りにも恐ろしいものであったが、その背中には、悲しき哀
愁が漂っているのだ・・・
 女の子達を、闇から出現した者達が細心の注意を払って救出する。それは事前に配置さ
れた魔界の救出部隊であった。
 怒れるアンジェラは、悪党の全てを駆逐すべく、魔力を全身に漲らせて歩むのであった。


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