魔戦姫伝説(アンジェラ・閃光の魔戦姫7)


  第19話 責められる王妃と愚劣なオブジェ
原作者えのきさん

ノクターン王国を壊滅させ、アリエル姫を陵辱の地獄に堕としたグリードル帝・・・その
最大の邪願は、マリシア王妃を我が物にすることであった。
 かつて若き日に、マリシアから拒絶された逆恨みを晴らさんとするグリードル。
 その猛り狂う欲望を露にし、暴君は邪悪に笑う・・・
 全てを食らい尽くすが如く・・・


        
 
 ガルダーン軍の侵略により、アルタクス王と共に帝国の城へと拉致されたマリシア王妃。
 グリードルの自室に監禁された彼女は、今だ夫と娘の悲惨な現実を知らされていない。
 邪悪なグリードルは、捕えた最上の獲物を速やかに食らうつもりはなかった。じっくり
苦しめ、精神を壊して(玩具)にしようとしているのだ。
 邪悪な暴君は、余裕の表情でマリシアを監禁している自室へと向っている。
 「フフフ・・・マリシアめ、いくら強情なあいつでも、もうそろそろ根をあげているだ
ろう。3日3晩かけて苦しめてやったんだからな・・・くっくっく・・・」
 薄笑いを浮べるグリードルは自室のドアに目をやる。
 部屋の前に立つ監視役の衛兵が、帝の姿を見て慌てて敬礼をした。
 「こ、これは帝さま。おはようございます。」
 衛兵は徹夜で監視をしていたため、酷く寝惚けた顔をしている。
 グリードルは労いもせず衛兵に尋ねた。
 「マリシアの様子はどうだ?許してくれと泣いているか。」
 自信げなグリードルであったが、しかし衛兵の返答は彼を失望させるに十分なものだっ
た。
 「そ、それが・・・呻き声1つあげてないでありますっ。あ、猿轡されてますから喋れ
ないのでありますけど。」
 「当たり前だバカタレッ。」
 マヌケな返答をした衛兵を突き飛ばし、自室に入るグリードル。
 その部屋は、気が遠くなりそうなほど(異常)な部屋であった。
 黒い壁の部屋には、鉄製の檻にX型の拘束器具と三角木馬、そしてムチや手錠、ロウソ
クにロープなど、SMに使用する道具一式が並んでいる。
 さらに天井からは、枷のついた鎖が無数に垂れ下がり、その鎖に・・・ロープで縛られ
た半裸のマリシア王妃が吊り下げられていた。
マリシアは17歳という若さでアルタクスと結婚し、18歳でアリエルを産んだ身である。
 36歳の、女として艶の乗った今では、肌の張りや美しさに一段と磨きがかかっている。
 吊り下げられた美しいマリシアは、露出度の高い淫乱なドレスを着させられ、ロープで
複雑に縛られた状態にあり、縄が身体に食い込み苦痛の表情を浮べている。
 ロープはわざと緩めに縛っているため、極度の激痛はない。
 しかし・・・吊り下げられている時間が長く、ほぼ丸1日にも渡って縛り責めが行われ
ていた。
 グリードルはマリシアを、最初は短時間の強い苦痛で痛めつけ、徐々に苦痛を緩める替
わりに、拷問の時間を長くしていた。
 マリシアは戦士であるため、多少の苦痛は気力で跳ね返す事ができる。それは華奢な身
体に秘めた精神の強さが物語っている。
 しかし・・・いかに彼女の精神が強かろうと、ジワジワと長時間に及ぶ陰湿な責めには
耐えられない。
 肉体的苦痛が精神を凌駕してしまうからだ。
 幾人もの婦女子を苦しめてきたグリードルは、どうすれば相手が泣いて許しを請うよう
になるか熟知している。
 マリシアが自分の足元に縋りつくように、従順なメス犬になるように・・・暴君は図っ
ていた。
 3日間、食事も水も与えられず、眠る事も許されていないマリシアは、生気の失せた目
でグリードルを睨んでいる。
 「う・・・ふぐう・・・ぐふぃどふ・・・むふうっ!!」
 舌を噛まぬよう猿轡をされているので、くぐもった声しか出せない。しかし声の強さか
らして、マリシアの反抗心が今だ衰えていない事を示していた。
 グリードルは口元を歪めてマリシアの顔を掴んだ。
 「ちっ、まだ参ってねえのかよ。強情な女だ。」
 猿轡を外し、口に自由を与える。ようやく喋れるようになったマリシアは、激しい口調
でグリードルを罵った。
 「ど、どんなに苦しめられようとも、わ、わたしはあなたに屈しないっ。こんな姑息な
責めなどで参りませんわっ!!」
 姑息な責めと見下され、眉間に血管を浮き立たせるグリードル。
 「ほう・・・あなたに屈しない、か。母娘そろって同じ事ほざきやがるぜっ!!」
 マリシアを縛る縄を強引に引っ張り、責め苦しめる。柔肌に食い込んだ縄が、さらにき
つく苦痛をもたらした。
 「うくぅああっ!!い、いたい・・・いいっ!!」
 長時間の責め苦でうっ血した手や足に激しい痛みが走り、マリシアは思わず悲鳴をあげ
た。
 如何な女戦士であろうとも、長時間の責めにはさすがに堪えたのであろう。しかし、マ
リシアに屈服の2文字はなかった。
 愛する夫と娘を救うため、彼女は暴君に負けるわけにはいかないのだ。
 「ううっ、く・・・これしきのことで・・・」
 抵抗するマリシアは、グリードルの言葉に恐るべき予感を感じた。
 「母娘そろって同じ事とは・・・ま、まさか・・・アリエルに何をしましたのっ!?」
 そして笑うグリードル。
 「フフン、教えて欲しいか?これを見ろっ。」
 グリードルが黒いカーテンを開ける。そこの窓から城の庭が一望できた。
 そして・・・庭に置かれた(異様)なオブジェを見てマリシアは絶句した・・・



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