魔戦姫伝説(アンジェラ・閃光の魔戦姫4)


  第9話 卑劣なグリードルの罠
原作者えのきさん

 レッカードが去った後、グリードルはガルア達を交えて酒盛りをしている。
 アリエルを憎んでいるガルア達は、最悪の辱めをグリードルに提案した。
 「帝様、アリエルは生半可な手段では根をあげないでしょう。民どもの前で、身体も、
心も、プライドも・・・何もかも粉々になるまで責め続けるのが良いと思います。」
 ガルアの考えた提案はこうだった。
 国中を全裸で引き回し、各領地で民の前で公開調教し、姫君としてのプライドも、人間
としての尊厳も残らず叩き潰すとの事だ。
 腕を切り落とされたガルアの憎悪は凄まじく、拷問室において、アリエルを苦しめる事
を昼夜考え続けていた。
 無論、それは相棒のガラシャも同様だった。
 罪人を苦しめる過程において、最も苦痛を与える事ができる拷問術を身につけた2人は、
最強の拷問師にまで成り得ていた。
 国中を引き回して凌辱するという提案に、グリードルも賛同している。
 「拷問の手段はお前達に任せる。必要な道具は全て揃えてやるぜ、なんでも言え。」
 「御意であります。」
 こうして、アリエルを辱める手段は進むのだった。
 アリエルを辱める・・・それはグリードルにとっても重要な事だった。恨みの連なるア
ルタクスを苦しめるには、愛する娘を嬲る事だとして策略を巡らせていた。
 そして・・・アリエルの泣き叫ぶ声を思い浮かべ、酒杯を掲げる。
 「ノクターン王国の滅亡と、ノクターン一族の破滅に乾杯だ。」
 酒杯をあわせ、野望の成就に酔いしれるグリードル達・・・
 そんな彼等の耳に、怒声が飛び込んでくる。
 「なんだ、騒々しい。」
 怒声の主はバーンハルドの王、リスカーだった。部屋の扉を蹴飛ばし、怒りを露にして
入ってきた。
 「約束は果たしたぞグリードルッ!!早くローネットを返してもらおうかっ!?」
 凄まじい形相のリスカーは、人質にされている愛娘の返還を求める。
 そんなリスカーを、ほろ酔いのグリードルが嘲笑して迎えた。
 「よお〜、リスカー。ご苦労だったな〜、ヒック・・・お前のおかげで見事ノクターン
を潰せた、礼を言うぞお〜。小娘も返してやるし、国境封鎖も解いてやる。そんなに興奮
してねえで、酒でも飲まんか。」
 あまりの横暴な態度に激怒したリスカーは、差し出された酒杯を撥ね飛ばした。
 「ふざけるなあっ!!私がどんな思いで盟友を裏切ったと思ってるんだっ!!今すぐ娘
を返せっ、さもないと貴様をこの場で殺してやるっ!!」
 激しく罵るリスカーに、グリードルは態度を一変させた。
 「そーかい・・・そんなに娘に会いたいか・・・だったら会わせてやろうじゃないかっ。
」
 グリードルは、控えるズィルクに向き直って指をパチンと鳴らした。
 すでに用意はされていたのであろう、ズィルクは速やかにリスカーの娘、ローネット姫
を連れてくる。
 「さあ、リスカー国王。あんたの娘を返すぞ。」
 ローネット姫は・・・ズィルクの召使いである褐色の肌の異人によって担がれてきた。
 だが・・・なにか様子がおかしい。ボロボロのドレスを着せられ、ぐったりとしたまま
動かない。
 娘の異変に、リスカーは愕然とする。
 「ろ、ローネット・・・?」
 褐色の肌の異人ナブールは、薄笑いを浮かべてリスカーの前にローネット姫を投げ出し
た。
 「ホラヨ、アンタノ娘ハ、チャント生キテルゼ。」
 生きている・・・そう、確かに(生きて)はいた・・・
 生きている(だけ)だった・・・
 変わり果てた愛娘の姿に、リスカーは絶句し、そして絶叫した。
 「・・・私だローネット、父上だよ?おい・・・ろ、ローネットーッ!!」
 娘を抱き抱えて叫ぶリスカーは、ニタニタ笑うズィルクをキッと睨んだ。
 「貴様・・・ローネットに何をしたっ!?」
 「教えてほしいかな?あんたの娘は帝様に無礼を働いたので、お仕置きをしてやったの
だ。まあ、少々度が過ぎてしまったがね。」
 仰向けになったローネット姫の表情は虚ろで、視線は虚空を漂っている。最強最悪の媚
薬である蜜油の副作用で、廃人になってしまったのだ。
 しかも身体には大蛇の鱗がこびりついており、微かに爬虫類の生臭い臭いがする。
 リスカーは知った・・・愛娘がどんな凌辱を受けてしまったのかを・・・
 「よ、よくも・・・よくもローネットをおおっ!!」
 怒り狂ったリスカーがグリードルに殴り掛かったが、ガラシャの鋭いムチで阻止される。
 「帝様に歯向かおうなんて、バカな王様だわね。」
 ムチでリスカーを締め上げ、クスクス笑うガラシャ。
 「は、離せ・・・ぐわあっ!?」
 さらにガルアの鉄拳が炸裂し、体中の骨が粉砕された。
 激痛で転げ回る父親の叫びを耳にしたローネット姫の意識が、不意に戻った。
 「・・・はうっ?うあ・・・ああ・・・ちちうえ・・・」
 「ぐああ・・・ろ、ローネットおお・・・」
 互いの名を呼び合う父娘の姿を見て、グリードルは邪悪に笑った。
 「フッ、俺に逆らわなければ生かしておいてやったのによ・・・おい、ガルア、ガラシ
ャ。そいつらをここで痛めつけろ。リスカーとローネット姫の叫び声を肴に一杯やるぜ。」
 すぐさま了承したガルア達は、リスカーを鞭打ち、ローネット姫を強姦した。
 玉座に座ったグリードルは、足を組んで酒杯を傾ける。
 「リスカーは時間をかけてなぶり殺しにしろ。ただしローネットは殺すなよ、奴隷市場
のボスが高値で買いたいと言ってるからな、クックック・・・それと・・・」
 そこまで言うとズィルクを手招きする。
 「バーンハルドの腰抜け大臣どもには、リスカーは娘の後を追ったと伝えろ。もう戦う
力はバーンハルドに残ってないんだ、嫌でも俺達に従うさ。」
 その命令に、ニヤリと笑って頷くズィルク。
 「はは、仰せのままに・・・」
 もはや、狂った暴君の策略は止められない。そして・・・グリードルの魔の手は、囚わ
れのアリエルとマリシアにも向けられる事となる・・・



 To・Be・Continued・・・


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