魔戦姫伝説(アンジェラ外伝) 初代アンジェラ編・ノクターンの伝説(3)


  第7話 裏切りのウィルゲイト。武神の兵団壊滅・・・
原作者えのきさん

               
 退却を余儀なくされた兵達は、負傷した者を抱えて天井に開けられた穴に向って飛び立ちました。
 私もミルミルも、傷ついたラムゼクスを抱えて兵に続きます。
 「さあ、逃げますわよ。」
 「か、かたじけのうございます・・・それにしてもウィルゲイトのバカ者め。来るのが遅いぞ、まったく・・・心配させおって。」
 文句を言っていますが、ラムゼクスの顔には安堵の表情がありました。
 飛行能力のない魔族達は後を追って来れません。なんとかここを脱出し、天界に増援を求めれば、今度こそ魔族達を一掃できる・・・兵達は全員そう信じていました。
 しかし、安心は私達の心に隙を作ってしまいます。
 藁にも縋る思いで脱出しようとした、その時です!!

 ---バリバリバリ〜ッ!!

 凄まじい雷撃が迸り、兵団を襲ったのです。
 数十人の兵達が、突然の雷撃を浴びて次々落下します。そして私も巻き添えとなり、一緒に墜落してしまいました。
 「きゃあああ〜っ!!」
 悲鳴を上げ、真っ逆さまに墜ちる私・・・床に叩きつけられる恐怖が迫りました。
 (も、もうだめ・・・)
 目を閉じた瞬間、私の身体に鈍い衝撃が走りました。
 床に投げ出され、ゴロゴロと転がった私は軽い脳震盪で目眩を起こしました。しかし・・・なぜか苦痛はなかったのです。
 ようやく起きあがった私は、自分の身体にダメージがない事に気付きました。
 高い位置から墜ちたのですから、大きなケガを負ってもおかしくはなかったのですが・・・そのわけはすぐにわかりました。
 「う・・・みんなは・・・はっ!?ら、ラムゼクスッ!?」
 絶句した私は、床に倒れているラムゼクスに駆け寄りました。
 彼は口から血を吐いて動けなくなっています。そして私は知りました、墜ちる私を衝撃から守るため、ラムゼクスは自身の体で私を庇ってくれていたのを・・・
 「ああ、私のために・・・目を覚ましてラムゼクスッ!!」
 名を叫んで揺さぶると、ゆっくり目を開けてくれました。彼は生きていたのです。しかし、もはや立ち上がる事もできぬ有り様となっていました。
 「う・・・うむむ・・・姫さま、おケガはございませぬか?」
 「私は大丈夫ですっ、それより・・・私のために、あなたは・・・」
 震える私の耳に、ミルミルの切迫した声が響いてきました。
 「姫さま〜っ、兵隊さんが・・・みんなケガして動けないです〜っ!!」
 叫ぶ声に振り返ると、兵達全員が床に倒れて苦悶の声をあげています。
 皆、まともに歩けないほどのケガを負っていました。無傷だったのは、私とミルミルだけでした。ミルミルはラムゼクスに縋って泣きました。
 「うわああ〜んっ、ラムおじさーんっ。ミルミルを守ってくれて・・・こんなケガしちゃって・・・ごめんなさぁいっ!!」
 ミルミルも私と同じように転落から守られていたのです。ラムゼクスはニッコリ笑い、ミルミルの頭をそっと撫でました。
 「何を言うのだ、それがしとお前の仲ではないか。大事な友を助けるのは当然だろう。」
 「ひっく、ひっく・・・ラムおじさん・・・ありがとう・・・」
 抱きあう私達を、負傷した兵達が温かく見守ってくれていました。
 「た、隊長・・・姫様はご無事でありますね・・・」
 「うむ。お前達は無事か?痛くて動けんなどと泣き言は言うまいぞ。」
 「はいっ、我ら武神の勇者であります。たとえ骨身が砕けようと戦い抜く所存です。」
 信頼と言う一枚岩で結束された私達、武神の兵団・・・
 魔族の軍団は、戦闘不能の私達を取り囲み、武器を構えて威嚇しています。
 ラムゼクスや兵達は、我が身を楯にして私とミルミルを庇ってくれました・・・
 しかし、そんな私達を嘲笑うかのような声が響きました。パチパチと拍手をしながら現れたのは、ウィルゲイトでした。
 「美しい信頼関係ですねえ、まったく、美し過ぎてヘドが出る。」
 侮蔑の言葉に、私達一同は驚愕し、そして怒りを露にしました。
 「ウィルゲイト・・・どういう事ですの・・・先程の雷撃は、あなたの仕業ですねっ!?」
 雷撃はウィルゲイトの得意技でした。事の真相を察したラムゼクスがウィルゲイトを睨みます。
 「貴様・・・我らを裏切ったのかっ!!」
 その罵声に、ウィルゲイトは平然と答えました。
 「フッ、そうですよ。私は武神を裏切った・・・それがどうした、文句がありますか?」
 私達全員は、ハンマーで殴られたかのような衝撃に襲われました。
 信頼と言う鉄鎖で紡がれた私達は、仲間に裏切られるなどと言う事は夢にも思っていなかったのです。
 私は信じられませんでした。
 身体を悲しみで震わせ、ウィルゲイトに尋ねました。
 「・・・う、ウソですわよね・・・あなたが裏切るだなんて・・・あなたは利口な人です、何か思惑があっての事でしょう?敵を欺く作戦ですわよね?そうですわよね?」
 頭脳明晰なウィルゲイトの事です、きっと訳があって(裏切ったふりをしている)・・・
 私は懸命にそう思いました。そうであって欲しい・・・
 しかし、その願いも虚しく打ち砕かれました。
 絶望に打ちひしがれる私達の所に、ニヤニヤ笑いながら歩み寄ってきたのはバール・ダイモンでした。
 「クックック、お前の作戦通りだなウィルゲイトよ。こうもうまくいくとは思わなかったぞ。」
 そしてウィルゲイトは、薄笑いながら答えました。
 「こいつらの動きは全て把握していますからね、騙すのは楽勝です。こちらこそ、私の作戦に賛同してくれてうれしいですよ、最強魔神バール・ダイモン。」
 親しげに会話を交わすウィルゲイトとバール・ダイモン・・・
 裏切られた衝撃も然る事ながら、決して交わる事のない(はず)の神族と魔族が結託していた事実を前にして、私は更に愕然としました。
 彼等は、お互いの利害が一致して手を結んだようですが、その利害とは一体・・・
 欲深いバール・ダイモンはともかく、なぜウィルゲイトが裏切ったのか・・・その答えを聞くべく、ラムゼクスが叫びました。
 「ウィルゲイトッ!!貴様は魔族どもにそそのかされたのかっ、それとも・・・我ら武神に恨みでもあったのかっ!?答えろっ!!」
 すると・・・冷徹なウィルゲイトの顔が歪みました。
 「武神に恨み、か・・・恨みならありますよ、山ほどねっ!!」
 怒鳴るなり、ラムゼクスの顔面を無情にも蹴り飛ばしたのです。
 吹っ飛んだラムゼクスに駆け寄り、私はウィルゲイトを睨みました。
 「なにをするのですっ!?恨みとはなんですか・・・私達がなにをしたと言うのですっ?」
 しかし、ウィルゲイトの口から詳しい真相を聞く事はできませんでした。
 彼は口元を歪ませ、こう言い放ちました。
 「姫様、あなたには直接恨みなんかないですけどね。あなたの父上・・・が悪いんですよ、神王の言いなり・・・いいな、り・・・ぶしん・・・は・・・おろかに・・・だ、だまされつづけ・・・ぐっ!!」
 急に、ウィルゲイトは胸を押さえて声を詰まらせました。
 言いたい事があるはずですが、呪いか(何か)で制限されている様子です。言いたくても言えないのです。
 ハアハアと荒い息を吐き、ウィルゲイトは言いました。
 「私はね、全てを奪われたんだ・・・うぐっ・・・クソ真面目な武神の・・・王の・・・せいで・・・両親が・・・ぐっ・・・姫様、あなたは父上の業によって地獄に堕ちる運命だ。汚らわしいバケモノの餌食になって、汚され果てても文句は言えないんだよ。どうしても私が裏切った訳を知りたいなら、地獄で私の両親に聞くといい。我が父と母の前で土下座して、泣いて許しを乞えば教えてくれるさっ!!」
 彼は私を睨み、常時かけているメガネを外しました。
 初めて見る、ウィルゲイトの素顔・・・いつも無表情な彼が、私達の前で初めて露にした素顔は・・・憎悪に歪んだ顔でした・・・



               バール・ダイモンの野望、それは神都の征服

 ウィルゲイトの瞳の奥に、青白い憎しみの炎が燃えています。
 恐ろしい憎悪の眼光は、屈強な武神の兵達をも震え上がらせました。
 若い兵の1人が、深い悲しみで体を震わせながら尋ねました。彼は、ウィルゲイトの弟子であり信望者だったのです。
 「う、ウィルゲイトさん・・・ウソだと言ってくれよ・・・あんたが俺達を裏切ったなんて・・・お、俺、あんたを尊敬してたんだ・・・頭の悪い俺に・・・戦術の極意を教えてくれたじゃないか・・・俺はあんたみたいに賢くなりたかったんだっ!!あんたに一生ついて行くって決めてたんだっ!!そ、それなのに・・・ひどいじゃないか・・・ウソだと言ってくれーっ!!」
 泣きながら絶叫する弟子を見据えたウィルゲイトは、冷酷に言いました。
 「レイバン、お前は私の良い弟子だった・・・素直で真っ正直で・・・そのお前を騙すのは、最高に面白かったよ。」
 若い兵の顔が、激しい絶望で硬直しました。そして・・・ウィルゲイトは兵の顔を掴み、嘲笑ったのです。
 「正直なお前に、最後の教授をしてやるよ。(正直者はバカを見る)、だ。よく覚えとけ。」
 その手から、裏切りの雷撃が炸裂しました。
 そして、全身を痙攣させた若い兵は、絶望の底へと堕ちて行ったのです・・・
 「う・・・ウィル、ゲイトさ、ん・・・」
 倒れた兵を踏みつけ、追い打ちをかけるように唾棄するウィルゲイト。
 「ふん、私はな、正直な奴が大っ嫌いなんだよっ!!クソ真面目な武神の一族なんか、残らず滅びたらいいんだ・・・神族どもは残らず地獄に堕ちればいいんだ・・・クックック・・・わーはっはっは〜っ!!」
 私は彼の邪笑いを聞いて絶句しました。なぜに、彼はそこまで私達を、武神を憎んでいるのか・・・
 私はこの後、激しい戦いの果てに全てを知る事になったのですが、それは凄まじい絶望を私にもたらす事になるのです。
 もし武神の一族が事実を知れば・・・一族は皆、憎しみの地獄に堕ちてしまいます。
 そして神族の平和のために尽くしてきた誠実な父が、なぜウィルゲイトに恨まれているのかを知れば・・・恐ろしい罪の呵責に苛まれる結果となるでしょう。
 実は・・・我が父である武神の王も、そして一族全員も・・・堕落した陰謀で(悪の道具)として利用されていたのです・・・
 全ての謎は、物語の後半で語る事になります・・・

 ウィルゲイトはバール・ダイモンに向き直り、手を差し出しました。
 「ではバール・ダイモン、例の物を頂きましょうか。神都の扉を開くのに必要な、あれをね。」
 「おお、そーだったな。ちゃんと見つけておいたぞ。」
 バール・ダイモンが手渡したのは、美しいガラス瓶でした。透明なガラス瓶の中には朱色の液体が満たされており、神秘的な輝きを放っていました。
 それを確認したウィルゲイトは、満足そうに頷きます。
 「確かに受け取りましたよ。これぞ神族の秘宝・・・神王がノクターンの初代国王に授けた不老不死の妙薬っ。」
 私は瞬きもせずにガラス瓶を見つめました。
 それは、神王が自ら造り出したとされる秘宝中の秘宝、不老不死の妙薬だったのです。
 私達神族の間では、半ば伝説的ともなっている極めて希少なアイテムで、死者をも蘇らせる事ができる代物であります。
 ウィルゲイトは不老不死の妙薬を何に使うのか、バール・ダイモンとの会話から判明しました。
 「これを神都のゲート・マスターに献上すれば、部外者を一切通さぬはずの神都の扉を、喜んで開けてくれるだろう。後は・・・あんた達が神都に乗り込んで暴れればいい。神都の連中はマヌケのアホ揃いだ、あんたらでも十分征服できるさ。」
 「そいつはいいが・・・あんたらでも、ってのは余計だ。(~_~;)」
 「これは失礼。」
 それは恐ろしい策略でした。
 バール・ダイモン率いる魔族の軍団は、大胆にも神都へ直接乗り込んで、神王もろとも壊滅させる魂胆だったのです!!
 神族の拠点である神都が征服されれば、天界そのものがバール・ダイモンに支配されてしまうでしょう。
 しかし・・・余りにも荒唐無稽で無謀なる企みであると私は思いました。いくらバール・ダイモンと魔族の軍団が強かろうとも、神王にはかなわないでしょうから。
 ラムゼクスも同じ事を考えていたのでしょう、傷ついた体を起こして怒鳴りました。
 「愚かな事ぞっ!!偉大なる神王様に楯突けるとでも思っておるのかっ!?不老不死の妙薬を手土産にすれば神都の扉を開けてくれるだと?敵が攻めてくるのに、どこのマヌケが扉を開けると言うのだっ!!それに魔族が天界に行けるはずもなかろうがっ。世迷い言をほざくでないわっ!!」
 私も武神の兵達も、ただの虚言と信じていましたが・・・バール・ダイモンとウィルゲイトの不敵な笑いを見て、虚言でない事を思い知らされました。
 「フッ、できん事なら最初からやらんわい。確実な手段があるから神都攻略作戦をたてておるのだ。」
 「それにラムゼクス、あんたが思ってるほど神王は偉大じゃないのさ。偉大(だった)と言ったほうがいい。」
 意味ありげな言葉を残し、ウィルゲイトは私達に背を向けました。
 背の翼をはためかせ、上空へと舞い上がります。神都へ赴こうとしているのです。
 「ではバール・ダイモン、神都で会いましょう。魔族の軍団の活躍を楽しみにしてますよ。」
 「おうっ、待っておれ。わしもお前が首尾よくやってくれるのを期待しておるぞ。」
 悪の結託とでも言いましょうか、2人は互いの事を高く信用していました。
 ただ、その信用には情も義理もありません。お互い利用価値があるから手を結んでいるだけです。
 上空に向う途中、ウィルゲイトは振り返り、メガネを指でクイッと押し上げながら言いました。
 「我が主君アンジェラ姫様。その美しき身体と心を汚され、泣き叫ぶあなたのお姿を見られないのが残念ですが、これにて失礼致しますよ。さらばです、わっはっはっ!!」
 恨みを晴らす喜びを満喫しているかのような、喜々とした笑いでありました。
 そして、破滅を望む狂った笑いでした・・・

 去って行くウィルゲイトを見て、バール・ダイモンは呆れた顔をしています。
 「イカレた奴だ、憎悪で脳みそが歪んでおるわい。わしが言うのもなんだが、奴は仲間を裏切り、自分を尊敬していた弟子まで闇に堕としおった本物の外道だ。まあ、そんな奴を信じていた貴様らもバカだ。」
 侮辱の言葉に、私達の怒りは高まりました。しかし・・・ウィルゲイトにまんまと騙されていたのも事実です。文句の言いようがありませんでした。
 苦悶する私達を前にしてバール・ダイモンは、魔族の軍団が如何にして神都へと乗り込むのかを口にしました。
 「さっき、オイボレが言っておったな。魔族が天界に行けるはずがないと。特別に教えてやろう、我らが神都へと乗り込む手段を。」
 バール・ダイモンは不敵に笑い、指をパチンと鳴らしました。
 すると数人の手下達が現れて、手足を縛られた1人の人物を連れてきたのです。
 その人物は、凄まじい拷問をうけていたのでしょう、ボロ雑巾と見紛うほど痛めつけられていました。
 年は20歳にも満たない若い男性です。私とほとんど年の変わらない、少年のような男性を見て、私は驚きました。
 彼は・・・ノクターンの若き国王、ハイラル・ノクターン王その人だったのです!!
 「ひ、ひどい・・・なんて事を・・・」
 ハイラル王の凄惨な有り様に、武神の兵達も絶句しております。魔族の軍団を送り込む手段が、極めて邪悪な事であるは明白でした。
 悪の権化たる魔神は語ります。
 「かつて神王は、誠実なる政策で国を治めた初代ノクターン国王を讃え、神王の住まう神都に参ずる事を許可した。だが空を飛べぬ人間は天界に行く事はできん。そこで神王は、神都とノクターン王国との間を行き来できる(神の道)を設けた。その道を出現させるカギとなるのが・・・ノクターン国王なのだっ!!」
 人間が天界へ行く事のできる唯一の場所・・・それがノクターン王国でありました。
 ノクターン王国が(天界と人間界を繋ぐ拠点)と言われているのには、そのような訳があったのです。
 魔神の邪悪な眼が、さらに輝きを増しました。
 「ノクターン国王の神聖なる肉体そのものが、道を開くカギとなっていたのだ。わしは拷問でハイラル王から神都への道を出現させる方法を聞き出した。強情な奴だったからな、聞き出すのが大変だったわい。まさか肉体がカギとは思わなかったし・・・だが、これで道は開かれる。後はウィルゲイトが神都側の扉を開ければ、我らは神都へと乗り込む事ができるのだ〜っ!!」
 余裕で語るバール・ダイモンの横から、手下の一人がツッコミました。
 「でへへ、ひ弱な人間に魔界の拷問は酷でしたからね〜。あとちょっとで国王がくたばって、計画がパアになるところだったからにして。」
 「アホッ、よけーな事を言うなっ。(汗)」
 マヌケな手下を吹っ飛ばし、バール・ダイモンはビシッと私を指差しました。
 「能書きはここまでだ。我らが神都を征服する前祝いに、貴様らを餌食にしてくれるわ〜っ!!武神の姫君よ、お前の汚れない身体を我が野望のために捧げるのだ〜っ!!」
 バール・ダイモンが叫ぶと、呆然とする私達の周囲から無数の触手が出現し、武神の兵達を拘束したのです。
 「うわっ、これはなんだっ!?」
 「は、離せーっ!!」
 そして・・・触手が私の身体に巻きつき、乱暴に持ち上げました。
 「ら、ラムゼクスーッ!!、みんなっ・・・た、助けてーっ!!」
 「姫さまーっ!!」
 ラムゼクスや兵達が懸命に私を助けようとしましたが、強固な触手は無情にも私達を引き離しました。
 そして、私の胸に縋るミルミルをも・・・
 「み、ミルミルは姫さまとゼッタイ離れないですーっ!!ひめさまああーっ!!」
 「ミルミルーッ!!」
 いくら泣き叫んでも術はなく、私はミルミルとも引き離され、大勢の魔族達が集まる前に独り連れて行かれました。
 邪悪な視線が私に集中します・・・
 「・・・クックック・・・可愛いお姫さまだあ〜。」
 「・・・イジメてやるぜ〜、かわいがってやるぜ〜。」
 「・・・お、お姫さまとヤリてえよおお〜。キレイなアソコにブチ込みてえよおお〜。」
 おぞましい薄笑いが響き、私の全身に凄まじい恐怖が駆け巡りました!!
 「い、いや・・・たすけてええーっ!!」
 蠢く触手が、凶悪にも私の鎧を引き剥がして・・・
 守ってくれる全てを失い・・・絶望が暗黒の如く私を覆い尽くします・・・
 迫る悪夢・・・そして邪悪な欲望!!
 強大な悪の前に、私は余りにも非力でありました・・・


 To・Be・Continued・・・

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