魔戦姫伝説/魔戦姫の休日(後編)1


       魔戦姫、鬼に感謝される
ムーンライズ

  ガリュウに抱かれていたミスティーアは、突然耳に飛び込んできた叫び声に振り向いた。
 「あ、ああっ・・・息子がっ。」
 その声は漁師の父親の声であった。
 スノウホワイトに抱かれた息子は、意識を失ってぐったりしている。先程の鮫人の襲撃
で水面に叩きつけられ、気絶しているのだ。
 息子を抱えているスノウホワイトが、深刻な表情で口を開く。
 「・・・大変ですわっ。この子は息をしていない・・・早く人工呼吸しないと・・・」
 事態は切迫していた。一刻も早い延命措置を施さねば命が危ない。そしてレシフェが声
を上げる。
 「コテージに急ぐのよっ。大至急っ!!」
 「わかりましたわっ。」
 その声にスノウホワイトは白い翼をはためかせて飛び立つ。その後を漁師を抱えてレシ
フェも続いた。
 白い航跡を残してコテージに向かったスノウホワイト達を追って、天鳳姫も飛ぼうとす
るが・・・溺れたダメージが大きく、フラフラと落下し始めた。
 「あう〜、待ってほしいのコトよ〜。あ、あれ〜。」
 そのまま水面に落ちる天鳳姫。その元にガリュウが水面を蹴って駆け寄った。
 「しっかりしろっ、おいっ!?」
 ミスティーアを片腕で抱えたまま天鳳姫の肩を揺さ振る。でも白目をむいた天鳳姫は声
も出せないほど弱っていた。
 「彼女も助けないと・・・おい、君も飛べるのか?」
 ミスティーアに向き直ったガリュウが、背中の赤い翼を見て尋ねる。
 「え、ええ。飛べますわ。」
 水中戦で濡れてはいるが、飛行は可能だ。ガリュウの意図を察して返答するミスティー
ア。
 「私は大丈夫です。すみませんが、天鳳姫さんを助けて頂けます?」
 ガリュウから受け取った上着に袖を通しながら、翼をはためかせる。彼女の返答にガリ
ュウは頷いた。
 「彼女は俺が運ぶよ。悪いが、君は仲間の後を追ってくれ。」
 「わかりましたわ。」
 空中へと飛び上がるミスティーアは、少し振り返ってガリュウと天鳳姫を見る。伸びて
いる天鳳姫を肩に担いだガリュウが、水グモの術で水面を蹴ってスノウホワイトの飛んで
行った方向へと走りだした。
 水飛沫の航跡を見つめながら、ミスティーアもコテージへと急行した。
 
 その頃、魔戦姫のコテージでは、侍女達が極度の焦りと不安に苛まれながら魔戦姫の帰
りを待っていた。
 望遠鏡で戦いの様子を伺っていたアルカが、戻ってくるレシフェとスノウホワイトの姿
を確認して安堵の溜め息をついた。
 「・・・安心なさってください、姫様方はみんな無事ですわよ。」
 その声にエル、アル、そしてリンリン、ランランも歓喜の声をあげた。
 「よかった〜っ!!」
 浜辺に響く喜びの声。でも喜んでばかりもいられなかった。レシフェとスノウホワイト
が漁師親子と共に浜辺へと戻ってきた。
 先に到着したスノウホワイトが、漁師の息子を抱えてアルカの元に駆け寄る。
 「アルカさんっ!!この子に人工呼吸と心臓マッサージを行ないますわよっ。」
 漁師の息子を抱えたスノウホワイトの表情は険しい。いつもの呑気な表情は微塵もなか
った。
 「溺れたのですねっ?」
 「ええ、呼吸も心臓も止まってますわっ。アルカさんは心臓マッサージをお願いします
っ。」
 「はいっ!!」
 浜辺に横たわった漁師の息子に、2人は緊急処置を行なった。
 少年の口に息を吹き込み、人工呼吸するスノウホワイトと、両手で胸を押すアルカ。
 「ふうっ、はあ・・・ふうっ、はあ・・・」
 途切れなく息を吹き込むタイミングに合わせ、アルカは一定のリズムで心臓を押した。
 2人の額から汗が流れる。懸命なる処置が続くが、少年の意識は未だ戻らない。
 その様子を、固唾を飲んで見守る一同の元に、天鳳姫を抱えたガリュウと翼をひるがえ
して浜辺に降り立つミスティーアも現われる。
 突然現われたガリュウの姿に、戸惑いの目をするリンリンとランラン。
 「あ、あの〜、あなたは誰ですか?」
 「自己紹介は後だっ、彼女を頼むっ。」
 驚く2人に天鳳姫を預けたガリュウが、治療を施される漁師の息子に駆け寄る。
 「・・・容体はどうだ?」
 尋ねられたエルとアルが、ガリュウの頭にある角を見て唖然とした。
 「つ、角が生えてますわ・・・」
 「お、鬼さんですの・・・」
 その2人に再度尋ねるガリュウ。
 「ああ、俺は鬼だよ。それより子供の様子はどうなんだ?」
 「え、あの・・・今スノウホワイト様が治療を成されてますですわ・・・」
 その声に浜辺に目を向ける。懸命なる処置は続行していた。
 「ふうっ、はっ、ふうっ、はっ。」
 浜辺にはスノウホワイトの息継ぎをする声だけが響いていた・・・
 そして、目を大きく開いたスノウホワイトが口を離す。
 「アルカさん、代わってっ!!」
 そう言うなり、心臓マッサージしていたアルカと位置を代わるスノウホワイト。
 少年の胸に置かれたスノウホワイトの手から、癒しの魔力が発せられる。
 「お願い、目を覚まして・・・」
 魔力が少年の心臓に注がれ、停止していた心臓に鼓動が蘇ったっ!!
 それと同時に少年の身体がピクンと痙攣する。
 「う、うう・・・けほっ。」
 軽く咳をした少年の口から水が吐き出される。そして、少年は覚醒した。
 「あう・・・う?・・・あ・・・女神さま・・・」
 少年の目に、白く美しい女神の顔が映る。そして歓喜の微笑みを浮かべる女神さま・・・
 「目が覚めましたわっ!!この子は・・・助かりましたわよっ!!」
 その声に、浜辺に大歓声が沸き上がる。
 「わあっ、よかった〜っ!!」
 「助かった・・・ああっ助かった〜。」
 一際声を上げて息子を抱き締める漁師。
 「大丈夫か?大丈夫か?ああ・・・もう目を覚まさないかと思った〜。」
 泣きじゃくる父親に抱かれ、息子も喜んだ。
 「と、父ちゃん・・・とうちゃ〜んっ。」
 喜ぶ親子に、一同も安堵の笑みを浮かべている。無言で肩に手を置き、少年の無事を喜
んだ。そんな一同に何度も頭を下げて感謝する漁師。
 「ありがとうございますっ、なんとお礼を言ったらいいのか・・・あなた達は命の恩人
です。」
 「いえ、息子さんが助かってよかったですわ。」
 歓喜の溢れる浜辺。そしてその横では溺れて伸びていた天鳳姫も、口から(ピュ〜)と
水を吹き出しながら喜んでいる。
 「あう〜、たすかってヨカッタのコトね〜、うぴゅ〜。」
 「姫様〜、しっかり〜。」
 天鳳姫のお腹を押しながら看病するリンリンとランラン。
 事態が落ち着いた一同の関心は、漁師親子から凛々しい鬼の青年に移った。
 ガリュウに歩み寄ったレシフェが尋ねる。
 「あなたは・・・鬼の一族の方ですわね?」
 「あ、俺は。」
 名乗ろうとしたガリュウに代わって、ミスティーアが一同にガリュウを紹介する。
 「・・・彼は、いえ、この方はガリュウさんという方で、その・・・ガロン様の御子息
ですのよ・・・」
 ミスティーアの言葉に、一同は驚く。先程ミスティーアが驚いたのと同様の感嘆の声が
浜辺に響いた。
 「えっ、ええ〜っ!?う、うっそお〜っ!!」
 その様子に等のガリュウが困った顔をする。
 「あはは・・・信じられねーのも無理ねーか。」
 偏屈者のガロンの子息である事態、信じろというのが無理であるのだ。それ程までにガ
リュウは凛々しく爽やかだ。
 「今紹介してもらった通り、俺の名前はガリュウ。鬼の一族の総帥である魔界鬼王ガロ
ンの息子さ。」
 白い歯をキラリと輝かせて爽やかに笑うガリュウ。
 ガリュウを見つめるエルとアルの目がハート型になっている。
 「超カッコイイですわ〜、シビレるですわ〜。」
 「最高ですの〜、漢(おとこ)って感じですの〜。」
 両手を組んでガリュウの前に歩む2人。
 「わ、私はアルって言いますわ、ヨロシクですわ〜。」
 「私はエルですの〜、ヨロシクですのガリュウさ〜ん。」
 「ああ、よろしくたのむゼ。」
 2人と握手するガリュウ。
 そんな様子を呆れた顔で見ているレシフェが、小声でミスティーアに尋ねた。
 「・・・ねえ、あの子達はあんなのが好みなの?」
 「そうですわね、逞しくて男らしいのが好みですわ。レシフェさんはガリュウさんをど
う思います?」
 ミスティーアの質問に少し頭を掻くレシフェ。
 「どうって・・・彼は私の趣味じゃないわね。私はもっと、こう・・・その・・・」
 顔を赤くするレシフェは、恥ずかしそうにボソボソ呟いている。それを見て、イジワル
に尋ねるミスティ−ア。
 「え〜、どんな人が好みですか〜。」
 「べ、別にいいじゃないの。私の好みなんか・・・」
 レシフェが恥ずかしがっていると、アルカが横から口を挟んできた。それをミスティー
アは興味津々に聞き入る。
 「あのですね、姫様は年下の生意気な男の子が好きなんですのよ。実は私の弟が・・・
でして・・・とゆ−わけですわ。」
 「へぇー・・・それで・・・ですの?」
 クスクス笑いながら小声で話し合う2人に、怪訝な顔をするレシフェ。
 「あー、はいはい。2人とも人の好みで盛り上がらないのっ。」
 話題のネタにされたレシフェは、ちょっとばかり迷惑そうであった。
 そして、漁師の息子を救ったスノウホワイトの元に、ドワーフ達が慌てて駆け寄ってき
た。
 「ヒメサマ、タイヘン、タイヘンッ。」
 「?・・・ど−したのみんな。」
 「ドロボウ、ドロボウ。ダレカガドレスヲヌスンダ。シタギモヌスンデルッ。」
 ただならぬドワーフの言葉に、思わず声を上げるスノウホワイト。
 「ええっ!?ドロボウですって?」
 その声を聞いた一同も振り返る。
 「ど、ドロボウ?まさか・・・」
 ドワーフの元に歩み寄ったミスティーアが、事の次第を聞いた。
 「どー言う事なのドワーフ君。詳しく話してちょうだい。」
 「ドレスヲイレタ、カバンガナクナッテル。ダレカガヌスンダ、マチガイナイヨ。」
 ドワーフ達の言葉に、一同声を失っている。
 先程水着に着替えた際に、ドレスや下着をトランクに入れていたのだが、それがそのま
まなくなっていたのだ。水遊びや鮫人との戦闘に気をとられれていたため、ドロボウの存
在など心中になかったのだ。
 全くの不注意であった。
 周囲を見回すミスティーア。静かなる浜辺に人気はない。
 ドレスは魔戦姫の必需品。早急にドレスを取り返さねばならなかった。
 それに際し、スノウホワイトが最初に動いた。ドワーフ達に指示を出したのだ。
 「みんな、ドロボウさんの足跡を探知なさい。まだ近くにいる筈ですわ。」
 「リョウカイ、ヒメサマッ。」
 自動人形であるドワーフ達には、ハルメイルから与えられた探査能力がある。7人のド
ワーフ達は一斉に浜辺を離れてドロボウの痕跡を探った。
 
 同じ頃、浜辺の外れにある森の中で2つの人影が動いていた。
 赤と青の影が大きなトランクを抱えて潜んでいる。その正体はガロンの手下である赤鬼
と青鬼であった。
 「へへっ・・・なんとかトランクをゲットしたぜ〜。」
 トランクを地面に置いた赤鬼が辺りを見回しながら呟いた。その横では、心配そうな青
鬼の姿がある。
 「なあ〜、ドロボウはよくないじゃん。バレたらただじゃすまないと思うけど・・・」
 心配する相棒の様子など、赤鬼は眼中に無かった。
 「へっ、心配すんな。あいつらは忙しそうにしてたんだ、バレてるわけねーぜ。」
 2人は、魔戦姫や侍女達の目を盗んでトランクを奪取していたのだった。目的は魔戦姫
の動向を探る事だったが、どうも目的に不純さが見え隠れしている。
 「さあ、お宝を拝んでやろうか・・・」
 トランクのカギがこじ開けられ、草色の、純白の、赤と白の衣の、そして赤紫のドレス
が出てきた。
 「おおっ、こいつは間違いねえっ。魔戦姫のドレスだぜっ!!」
 「最高に綺麗じゃんっ。」
 トランクからドレスを引き出し、可憐なる衣裳を広げる。その美しきドレスに、2人は
息を飲んだ。いや、このアホ2人に限らず、誰が見ても感動せずにはいられない。
 薄絹のように軽く、宝石の如く煌めく魔戦姫のドレス・・・
 魔戦姫は常に美しく、そして華やかであるべし。それが長であるリーリアの課したモッ
トーである。
 それを示すが如く、ドレスは最高に輝いていた。ドレスに見入る2人は、自分達の使命
など忘れて悦びに浸っている。
 「うっへっへ〜、お姫様のドレスに触れるなんて、俺達って幸せ〜。」
 鼻の下を伸ばしていた2人が、ドレスと一緒に入っていた下着に注目した。
 可憐なのはドレスだけではない。身につける下着も美しい。透けるように薄い素材で造
られた下着は、日の光を受けて虹色に煌めいているのだ。
 可憐なる下着を手に、感激する赤鬼と青鬼。
 「お、おお〜、ぱ、パンティーだぜ〜。」
 「でかいブラジャーじゃん、こいつは巨乳の天女ちゃんのだ〜。」
 その純真なる下着を、このアホ2人は・・・あろうことか匂いを嗅いだのであった。
 「んん〜っ、いい匂いじゃ〜ん。この芳しい香りっ、使ってる香水は超高級のブランド
ものじゃん。」
 「あ、あのベッピンのお姫様のアソコを・・・この下着が・・・にょほほ〜っ!!」
 ドレスや下着の物色に勤しみ、妄想も露に悦んでいる2人は、すぐ近くに7つの影が近
寄っているのに気が付いていない。
 ガサガサ・・・
 草が揺れて、それは赤鬼と青鬼に接近する。
 「ミツケタ、ミツケタ、ドロボウダ。」
 音を忍ばせて歩み寄り、背後に回った・・・
 シュルルッ。
 草影から無数のロープが飛ぶ。それが青鬼の体に巻き付いたっ。
 「のおっ、これはなにじゃんっ!?」
 グルグル巻きになった青鬼が悲鳴をあげる。もがいてもロープから逃れられない。
 その青鬼目掛けて7つの影、ドワーフ達が飛び掛かった。
 「ドロボウメッ、ヒメサマノドレスヲカエセッ!!」
 「ひょえ〜っ!!お姫様の逆襲じゃんっ、たすけて〜っ!!」
 ドワーフ達の襲撃で呆気なく捕われる青鬼。そしてドワーフ達は赤鬼をジロリと睨んだ。
 「オマエモドロボウダナッ?ツカマエテヤルゾッ。」
 睨まれた赤鬼が、相棒を見捨てて遁走した。
 「つ、捕まってたまるかよっ、あーばよっ。」
 「わ〜んっ、この薄情者じゃ〜んっ!!」
 青鬼の悲鳴を背に、赤鬼は森の中を逃げてゆく。その行く手に、黒い戦装束をまとった
大男が姿を見せた。
 遁走している赤鬼を見つけたその大男は、歩みを止めて待ち受ける。
 「むっ・・・あやつは・・・赤鬼か?」
 厳ついヒゲ面の大男を見て、赤鬼も立ち止まる。
 「あ、あれ?あんたは・・・お、鬼武者っ!?」
 大男の正体は、ガリュウの配下である鬼武者であった。
 手にした鬼の金棒を地面にドンと突き立て、赤鬼を睨み据える。
 「おい赤鬼っ、ここでなにをやっておるっ?」
 鬼武者の鋭い視線に、思わず硬直する赤鬼。
 「な、なはは・・・いやあの・・・俺達は御館様に言われて、その〜。侵入者の監視を
してたンすよ、にゃはは・・・」
 ヘラヘラ笑いながら説明する赤鬼だったが、その手に持っている物を見て眉を釣り上げ
る鬼武者。
 赤鬼の手に、魔戦姫の下着が握られているのだった。
 「ほう・・・婦女子の下着を持って監視活動か?ふざけた事をぬかすなっ!!」
 鬼武者の罵声に赤鬼は飛び上がる。
 「ひええっ、本当っすよ〜。本当に御館様に命令されて魔戦姫を監視してたんですって
ば〜。」
 「魔戦姫?そうか・・・侵入者とやらは魔戦姫であったか。で、監視ついでに下着を盗
んできたと言うわけか・・・このたわけがーっ!!」
 バコーンッ!!
 鬼の金棒でゴーカイに吹っ飛ばされる赤鬼。
 「どひ〜っ。」
 飛んでゆく赤鬼の先に、青鬼を捕らえたドワーフ達が姿を見せた。
 「アレ?ドーシタンダ、コイツ。」
 地面に落ちて伸びている赤鬼を見て呆気にとられているドワーフ達に、鬼武者が声をか
ける。
 「むっ、お前達は魔戦姫の手の者か。」
 屈強な鬼武者の登場で、思わず身構えるドワーフ達。
 「アヤシイヤツ、オマエモドロボウダナッ?」
 そんなドワーフ達に、鬼武者は手をかざして正体を話す。
 「あいや待て、拙者は怪しい者ではない。拙者の名は鬼武者、鬼の一族の武人である。
もう一度尋ねるぞ、お前達は魔戦姫の配下であるに相違ないな?」
 「ソーダヨ。ボクタチハ、ヒメサマノケライダ。」
 正体を告げるドワーフ達を見て、鬼武者は鬼の金棒を背中に収める。互いに警戒を解い
た鬼武者とドワーフ達が歩み寄る。
 ドワーフ達の後ろには、ロープでグルグル巻きにされた青鬼が転がっていた。
 「フガフガ・・・たふけへ、おにむひゃひゃ〜ん。」
 猿ぐつわをされ、情けない声で懇願する青鬼を見た鬼武者は、呆れた顔で溜め息をつい
た。
 「このバカがっ・・・どうやら我等の仲間が無礼を働いたようだ、陳謝いたす。すまぬ
が、魔戦姫の元に案内してはもらえぬか。」
 「アンタハ、イイヒトミタイダネ。イーヨ、ツイテキナヨ。」
 そう言うと、ドワーフ達は青鬼を担ぎハイホー、ハイホーと歌声をあげて歩いてゆく。
そして鬼武者は、伸びている赤鬼の首根っ子を掴んで持ち上げる。
 「ほれ、さっさと立たんかっ!!」
 「ひーん、勘弁して〜。」
 おバカな2人を連行するドワーフ達と鬼武者は、浜辺で待つ魔戦姫の元へと歩いていっ
た。



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