『魔戦姫伝説』


 魔戦姫伝説〜鬘物「ふぶき」より〜第1幕.9
恋思川 幹

 ふぶきは取り押さえられて、なお猛烈な抵抗を示した。
 もちろん、膂力に勝る僧兵達に数人がかりで押さえつけられているのだから、どうなる
ものでもなかった。
 だが、この抵抗は生き残るためのものではない。 僧兵達を怒らせ、自分を殺させるた
めの抵抗である。とにかく、手当たり次第に暴れてみせる。
「殺せっ! 貴様等なんぞの慰み者になるくらいならば、いっそ殺されたほうがましだ
っ!!」
 ふぶきは類稀なる武勇の持ち主であったが、高貴な出自故にどんな境遇に陥ってでも、
絶対に生き抜いて見せるという胆力に欠けていたとも言える。
 だが、そんな抵抗ももはや圧倒的優位にある僧兵達にとっては、欲情を掻き立てるもの
でしかなかった。
「暴れろ、暴れろ! そうでなくちゃ、犯しがいがないってもんさ!」
「おいっ! こいつの足をおっぴろげろ! 御開帳だっ!」
「おうっ!」
 上半身を三人程がしっかりと押さえつけておいて、他の僧兵達はふぶきの下半身の鑑賞
を始める。もともと、風呂に入っていたところを襲われたため、薄着1枚だけの姿である。
 ふぶきは一旦は自由になった足をじたばたとさせたが、あっけなく両足を僧兵に掴まれ
て思いきり左右に開かされた。
「おおっ!? こいつ、下帯(褌)なんぞつけておるぞ!」
「くっ……そうだっ! 私を女と思うなっ! さっさと首を打たぬかっ!!」
 だが、そのふぶきの叫びも空しく響いただけであった。
「女と思うな……か。そいつぁ、無理だな。へへへ」
「あうっ……」
 上半身を取り押さえている僧兵の一人が、ふぶきの胸を揉む。大きすぎず、小さすぎず
の張りと弾力のある乳房である。
「下帯をつけた女かよ。なかなか、そそられせてくれるじゃねえか……」
「どれどれ、中はどうなってるんだ?」
 僧兵達が下世話な笑いを浮かべながら、下帯をはずしにかかる。
「やめろっ! やめぬか………やめてぇっ!!」
 ふぶきの声は、最後には絶叫に変っていた。
 ふぶきの下帯が剥ぎ取られ、おま○こが丸見えになってしまう。
「おお、なんと美しい……。鮮やかな桃色よっ!」
(……もはや……これまでか……)
 ふぶきの体から、すぅっと力が抜ける。
「おっ! 急に大人しくなったじゃねえか。とうとう諦めたか?」
 上半身を押さえつけている僧兵が声をかけてくる。
 だが、ふぶきはそれには答えず、自らの舌を噛みきって自害しようと試みる。
 ――が。
「……むぐぅっ!」
 ふぶきの口に布が押し込まれる。
「どうだい、姫様? ご自分の下帯のお味は?」
 僧兵の頭が声をかけてくる。僧兵の頭はとっさにふぶきが自害を試みようとしているの
に気付いて、ふぶき自身の下帯をふぶきの口に押し込んだのである。
「そう楽に死なせやしないぜ。たっぷりと犯した後に嬲り殺しにするんだからな」
 僧兵の頭はあらためてふぶきの下帯を猿轡の様にふぶきに噛ませる。これで、ふぶきは
死ぬ自由さえも絶たれた。
「おい、縄を持ってきて両手両足を縛り上げろ! いつまでも、のしかかっているのは面
倒だし、色気がねえ」
「へいっ!」
 数人の僧兵が走っていった。



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