『魔戦姫伝説』


 魔戦姫伝説「殺害の妖精リザイラ」3
山智

二人の手下に引き連れられていたのは、筆頭
侍女リザイラ王女付きのサイアであった。
リザイラには及ばぬまでも、その美しさは周
辺の美姫に並ぶとまで言われている傾国の美
女である。
流れるような黒髪を持ち、緑の瞳は涼しげな
切れ長で、大人びているが柔和な容貌をして
いる。そして、右の目元の泣きぼくろに色気
を感じさせるものがあった。
体つきも、折れそうなほど華奢なのに、胸や
お尻などの肉付きは豊かだ。そのため、美し
く、非常に官能的な曲線美を有している。
リザイラにはない、男の劣情を煽りたてる雰
囲気の持ち主であった。
だが、今は、かつての王城の事ならすべて把
握していると言われた有能な筆頭侍女の姿は
ない。
全裸に、首輪と手枷を付けられただけの、ま
さに飼い牝とも言える格好をしている。
「サ、サイア……」
かつての才女の姿を知っているリザイラは、
絶句したような掠れた声をあげた。
だが、驚いたのはリザイラだけではない。
「リ、リザイラ様ぁぁぁっ!」
背後からゴルドに犯されているリザイラを見
てなり、サイアも悲鳴を上げる。
「ふはははは、感動の再会だなぁ、お姫様」
「き、貴様っ、サイアに何をしおったぁっ!」
「へへ、そんなの見りゃわかるじゃねえか。
身体の穴という穴にズコズコと突っ込んで、
身体中にぶっ掛けて、身体の奥にたっぷり注
いでやったのよ。みんなで可愛がってやって、
その女も最後にゃ悦んでたぜ、ハハハハハ」
「サイアたちの安全は保障するというたでは
ないかっ!」
「だから、命の安全は保証してるぜえ。あと
の事には関知しねえが」
「へへへ、大事に可愛がってますぜ。死んで
もらっちゃ、俺たちもつまらねえし」
「おのれ……」
悔しさのあまり、リザイラは破れそうなほど
唇を噛む。
「あなた、リザイラ様から離れなさいっ!」
睨み付けるサイアの視線を受けて、ゴルドは
薄笑いを浮かべる。
「お前ごとき、盗賊風情が触れていいお方で
はないのよ! リザイラ様に指一本ふれない
で!」
だが、ゴルドは聞き入れなかった。それどこ
ろか、あぐらをかいて、リザイラを背後から
抱えあげたのだ。そして、リザイラと自分の
性器が繋がっている部分をサイアの面前にさ
らけ出し、見せ付ける。
リザイラの薄らとした金の下萌え。その下の、
リザイラの可憐な容姿と同様の、愛らしいピ
ンクの陰唇が痛々しいほど押し広げられ、ど
す黒く醜猥なゴルドの肉棒を飲み込んでいる
のが、つぶさに見て取れる。
ゴルドは見せ付けるように、ゆっくりと腰を
動かした。
その度に、リザイラの秘唇が押し込まれ、捲
りあげられる。
「ああ、ああああぁぁぁ……」
力のない声を漏らし、サイアは押し潰される
ように膝をついた。
美しく、純粋で、気高く、この世の何よりも
可憐で愛くるしい主人……。
優しく、聡明で、慈愛に満ちたお方……。
己の全身全霊、全知全能をかけてお仕えする
に足る、この世でただ一人の主君……。
命を賭けて守ると誓った、愛するお人……。
そのお方が、ゴミのような男に辱められ、汚
されている。
ゴルドが一突きする毎に、サイアの心が深く
深く抉られていく。
「サイア」
その声は、打ち砕かれそうなサイアの心を繋
ぎ止めた。
はっとして顔を上げると、リザイラは柔らか
い笑みを浮かべて、サイアを見つめている。
「わらわは平気じゃ」
男に秘唇を貫かれ、犯されているにもかかわ
らず、リザイラはなおも堂々と胸を張って、
毅然としていた。それに、男に陵辱されてい
る悲惨な場面だというのに、リザイラの浮世
離れした愛らしさは些かも損なわれていない。
(ああ……。リザイラ様は違う……。格が違
うとはこういうことなの……?)
サイアは感動した。
こうなると、ゴルドのほうこそ滑稽で、リザ
イラに跨られているただの椅子にしか見えな
い。
(やはり、私にはリザイラ様だけ。この身が
どうなろうとも、この方だけでもお助けしな
くては……)
サイアの胸に固い決意が湧き起こってくる。



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