魔戦姫伝説異聞〜白兎之章〜


 白い少女 第42話 
Simon




――――――泣イテイル――


――心ガ――泣イテ――

――ドコニイラッシャイマスカ――………サマ――

――今――オ傍ニ参リマス――

――ドウカ、泣カナイデ――


――――私ハ――貴方トイッショデス――







「――あはははは……あはははははははは!…」

濁った硝子のような瞳を宙に彷徨わせながら、コワレたように笑い続ける

「あ〜あ、やっちゃった」
「かまうもんか――はなっから、そのつもりだったんだ」

掌に浮いた汗をズボンで拭いながら、肩を上下させて強張った身体を解す
どうやら、バケモノはあいつだけだったらしい

「こうなったら、もう遠慮はいらねぇ――これからは身体で覚えてもらおうぜ」
「今までだって、そうしてきたじゃないですか」


「――あははははははは――あー――――ウソツキ」

「――なんだと?」

「ユウナは、あたしといるの――しんだりなんかしない」

「ちっ――既知外に構ってられるかよ――おい――」

「うそつき――うそつき――うそつきうそつきうそつきうそツキウソツキ――」

「ちょっと、ラムズさん――」
「なんか……ヤバくないっすか?」

「――ウソツキウソツキうそつきウそつきウソつきうソツき――」

    ――ウソツキウソツキうそ――

         ――ツキうそつきウそつきウソつきうソツき――

「――黙れよ!!」

「――ウそつきウソつ――」

「ぶっ殺すぞ!! 黙れっつってんだろうがっ!!!」

「――…………」

    ――ウソツキウソツキうそツキウそつキう――

    ――そつきウソつきうソツき――


「――っ! 手前ぇらも、黙れっ!!」

「ラムズさん!――誰に言ってるんですか!」

「誰って!――――?」

「――………………」

――そうだ、誰も何も言っちゃいない――じゃあ、何で聞こえるんだ
――俺までおかしくなっちまったのか?

「ラムズさん、なんかやっぱ――変ですよ、コイツ!」
「そ、それがどうした! んなぐらいでビビるな!」


――ユウナがいないなんて――うそをつくから

        ――ウソツきハわるいヒとだから

  ――ワルいひときえル――うそもキえる――
――うそがきえレバ――ユウナはいる――
     ――ユウナは死死死死死死死死死死死死死んだ――
――うそうそウそ――あたしのセイじゃな――
    ――ちがうわるいのははははははうそうそ――
――いやいやいやきもちワるいのははははうそつきうそつき
         ――かゆいかゆいかゆいかゆゆゆゆ
   ――たすけてゆうな――ぐちゃぐちゃぐちゃちゃちゃになっ――
          ――いないいないいないいないドコニモいない
――ユウナユウナゆうなたすけてどこどこどこどこ
    ――きもちわるいきもちわるいきもちわるいいいいいい
――あたしのせいじゃない――ちがうちがうちがうちがうちがう!
    ――ちがちがちがちがちがうううううううううううううう
   ――だれののののののノノノせいせいせいセイセイ!!


「おい! 手前ぇ、いいかげんにしろ!」






「――なんだよ――なんなんだよ、その目はぁ!!」


   ――コイツダコイツダコイツダコイツダコイツダコイツダ

     ――こここここコココいつらのせいでユウナががああああああ


――ゼンブ――アナタタチノ――セイ!――


「ユウナ――ユウナ――ア…ハハ………アハハハハハハハハハハハハハハハハハ
ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ
ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ
ハハハハハハ!!!!!」


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