魔戦姫伝説異聞〜白兎之章〜


 白い少女 第15話 
Simon


全身を男たちの唾液に滑光らせたユウナは、ぜいぜいと荒い息をつき、未だ痙攣
の治まらない身体を人形のように投げ出していた
予想より遥かに鋭敏な少女の美肌は、男たちの舌の動き、息遣い、その全てに驚
くほどの反応を示し、最後まで男たちを楽しませたのだ

だが、強制的に反応を引きずり出され、今もこうして無残な姿を晒しながらも、
ユウナの心は痛いほどに澄み切っていた

取り寄せた食事に舌を鳴らしながら、これからの陵辱に気勢を上げるラムズたち
に気づかれぬよう――ユウナはその眼をピクリとも動かすことなく、部屋の中を
隅々まで冷静に観察していた

部屋の間取り――照明の間隔――扉の構造――いざというとき武器にできそうな
もの――
そして何より、未だに泥のように眠り続けるリンスのことを

――あの時、リンス様にも同じ睡魔香が使われたはず

いつもの安らかな寝顔とは程遠い――人形のような青褪めた表情
ユウナの眼には、リンスがうすく汗を掻いていることまで見て取れた
明らかに後のことなど考えていない――下手をすれば廃人になりかねない危険な
薬物
あっさりとそんな薬物の使用に踏み切るような輩に、これ以上リンスに手を出さ
せるわけにはいかないのだ
握り締めそうになる拳から力を抜いて、ユウナは改めてじっくりと男たちを観察
した

――皆殺しにするまで――――5秒

だが、この部屋の鍵は外からしか開かない
ユウナであれば、扉を破ることはできる――片腕を捨てる気ならば
だが感じ取る限り、この連れ込み宿にはまだ10人近い男たちがいるはずだ
それらを無力化する算段が立つまでは――ユウナはいかなる痴態を晒してでも男
たちを自分にひきつける覚悟を固めていた

ふと男の一人が立ち上がった――ちょっと用をたそうとでも言うかのように
向かう先は、部屋の隅の簡易トイレ――そのすぐそばには、眠り続ける主の姿!

――だめ!

「――くっ」

ユウナは崩れそうになる身体を推して、よろめきながらも立ち上がった
揺らめく明かりが、汗と唾液に濡れた肌を光らせる

――あちらに行かせてはだめ!

ユウナは足を開き、腰を大きく前に突き出した
羞恥に顔を背けながら、少しでも男たちの劣情を自分に引き寄せられるように

   ――とんだ淫乱ね

       ――あの程度じゃ物足りないんですって

「――ケッ! あれっぱかしじゃ物足りねぇってか? 上等じゃねぇか」

近づいてくる男たち

――よかった、リンス様を守ることが――――きゃあっ!

いきなり乳房を鷲?みにされ、ユウナの意識が引き戻される
それを確認したラムズは唇の端に哂いを浮かべると、ゆっくりとその掌を動かし
始めた

――柔らかく――優しく――そして大きく――胸全体をこね回すように

――? これは…?

最初の痛みはすぐに薄れ、それに続くぐらぐらと身体の芯を揺するような感覚に、
ユウナは微かに眉を顰めた

「――さっきはいきなり乱暴にしちまったからな――今度はじっくりと『開発』
してってやるぜ」

――楽しみにしていろよ



ユウナの瞳の隅に一瞬、恐れにも似た影がよぎった


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