魔戦姫伝説(スノウホワイト・白哀の魔戦姫)


  第7話   白雪姫の悲しき叫び
ムーンライズ

 陵辱は朝が開けるまで休み無く続いた・・・
 猛り狂った手下どもは、情け容赦無くシャーロッテ姫を嬲り、そして欲望の全てを白雪
姫の中にブチ撒けた。
 朝になって、ようやく解放されたシャーロッテ姫は、困憊しきった身体を引き摺って屋
敷の中をさ迷っていた。
 「・・・どこ・・・ドワーフたちは・・・みんなはどこ?」
 意識朦朧としながらも、彼女はひたすらドワーフ達を捜し求めて歩き続ける・・・
 その姿、かつて(バーデンブルグの白雪姫)と呼ばれた白く美しい姿は微塵もなかった・
・・
 絹のドレスはボロボロに引き裂かれ、胸元からは白い乳房が露になっている。その白い
肌も、そして白い髪も・・・悪党どもの汚物で汚され、見るも無惨な有様になっている。
 でも、彼女には自分の有様など構っている気持ちは全く無かった。
 
 ――見つけねばならない・・・愛するドワーフ達を・・・早く戻らねば・・・バーデン
ブルグに・・・
 
 その意識だけが、今の彼女を支えている。
 バーデンブルグの人々は皆殺しにされた・・・余りにも絶望的な事実を突き付けられて
も彼女は、ひとカケラの希望に向って進んでいた。
 
 ――ドワーフ達は・・・怖くて寂しくて悲しくて、泣いている・・・みんなどうか・・・
無事でいて・・・
 
 さ迷い歩いた末に、シャーロッテ姫は青ひげ男爵の部屋に辿り着いた。
 贅沢を駆使して飾りつけられたその部屋で、青ひげは朝食をとっていた。そしてノック
もせずに入ってきた、ボロボロのシャーロッテ姫を見て怪訝な顔をする。
 「ん?なんですかあなたは、食事中に入ってくるとは不躾な人ですね。」
 奈落に堕した姫君の事など忘れたかのような口ぶりで、口元をナプキンで拭いている青
ひげ。
 悪の首領を前にしたシャーロッテ姫は、途切れそうになる意識を振り絞り尋ねた。
 「・・・あの子達はどこですのっ・・・私のドワーフ達を還して・・・はやくかえして
っ。」
 声をあげるシャーロッテ姫だったが、青ひげは鼻先でフンと笑うのみ。
 「言葉使いもなっていないですね〜。還してくださいと頭を下げるのが礼儀でしょうが。
」
 余りにも屈辱的な言葉・・・しかし、シャーロッテ姫は従った。
 「かえして・・・ください・・・おねがいします・・・」
 深々と頭を下げて懇願するシャーロッテ姫を見て、青ひげは鬱陶しそうに部屋の隅を指
差した。
 そこには、7つの小さな人影が横たわっている・・・
 「少年達ならあそこにいますよ。もう彼等には用はありませんから、あなたに還しまし
ょう。」
 その言葉に、シャーロッテ姫はドワーフ達の元へと駆け寄った。
 「みんなっ、私ですよっ、みんな・・・み・・・んな?」
 
 ――・・・
 
 返事が無い・・・どうしたのみんな・・・そう言おうとした時、シャーロッテ姫は硬直
した。
 
 血の臭いが漂ってくる・・・それも大量の・・・
 
 ――まさか・・・まさか・・・
 
 シャーロッテ姫は絶句した。そして最悪の事態が彼女を打ちのめす。
 暗がりに転がっているドワーフ達は全く動かない・・・床一面に広がった血溜まり・・・
それが何を意味するか・・・そう・・・ドワーフ達は・・・
 「み、みんな・・・クラウス、ヨハン、ルドルフ、ミハイル、フランツ、ジークフリー
ト、ロルフ・・・返事をして・・・私ですわよ・・・シャーロッテですわ・・・よ・・・」
 悲痛な現実を拒否せんと、ドワーフ達の名を呼ぶ・・・しかし、まったく応答は無い・・
・
 ワナワナと全身を震わせ、シャーロッテ姫はドワーフ達を抱き上げた・・・
 青ひげの餌食となり、無惨に変わり果てたその身体を・・・
 「みんな・・・あ、ああ・・・」
 白いドレスと肌が血で染まる。ドワーフ達の身体は、冷酷な青ひげの虐待によって傷だ
らけになっていた・・・
 「目を覚まして・・・めをさましてっ!!」
 必死でドワーフ達を揺さぶるシャーロッテ姫・・・すると、ほんの少しだけ小さな身体
が反応した。
 「・・・ひめさま?ひめさま・・・」
 「ああっ、生きているのですね・・・私ですよ・・・ほら・・・」
 その声に応えようと、小さな手をシャーロッテ姫に向ける。手を握ると懸命に握り返し
てくる。しかし、それは余りにも弱々しかった。
 そして、小さな命の焔が小さくなっていく・・・
 「・・・ひめさま・・・ひめさ・・・ま・・・」
 次々と事切れるドワーフ達の命・・・
 「みんな・・・?どう、したの・・・ねえ・・・」
 そして・・・シャーロッテ姫の最後の希望は消滅した・・・
 「いや・・・いやあああああーっ!!!!!!!」
 木っ端微塵に砕け散った希望が、ガラガラと崩れていく。そして襲い来る絶望の衝撃・・
・
 「わあああーっ!!みんなあああーっ!!」
 
 ――ゴメンナサイ・・・ミンナヲ、タスケテアゲラレナカッタ・・・ワタシヲ・・・ユ
ルシテ・・・
 
 シャーロッテ姫の悲しい叫びが、絶望を伴って辺りにこだまする。
 ドワーフ達の身体を抱きしめたまま、声の限りに泣き叫ぶシャーロッテ姫。
 だが、そんな姿を見ても、青ひげは情のカケラすら見せずに嘲笑った。
 「フン、汚いなりで押しかけて大騒ぎするとは、せっかくの美味しい朝食が台無しでは
ありませんか。」
 そう言うと、手をパンパンと鳴らして手下を呼び寄せる。
 「君、あの汚い姫君とゴミを森に捨ててきなさい。目障りですからね、さっさとやるの
ですよ。」
 「はっ、承知致しました。」
 青ひげの命令を即時実行する手下。叫び続けるシャーロッテ姫は、ドワーフ達と麻袋に
入れられて屋敷から運び出された・・・
 
 屋敷から離れた森の中、手下の巨人アンドレと小男がシャーロッテ姫達を運んで来た。
 ドワーフの入った麻袋を引き摺っている小男が、ブツブツと不平を漏らしている。
 「重いのね〜ン、寒いのね〜ン。なんでオレが荷物運びしなきゃならないのねン?」
 文句を言っている小男は、昨夜シャーロッテ姫を蟲責めにして苦しめた奴だった。
 辺りは雪がうっすらと積もっており、寒さが身に染みる。そんな所に、シャーロッテ姫
達を置き去りにしようというのだ。
 シャーロッテ姫を担いだ巨人のアンドレも文句を言っている。
 「まったぐだぜ〜。このクソざむいのに、ひとずがいのあらいだんじゃぐざまだぜ。」
 森の奥深くまで歩いて来た2人は、麻袋からシャーロッテ姫達を投げ出した。
 冷たい地面に投げ出されたシャーロッテ姫は、ヨロヨロと這いずってドワーフ達を抱き
しめた。
 「あうう・・・みんな・・・くらうす・・・じーくふりーと・・・」
 虚ろな目で物言わぬドワーフ達を抱きしめ、涙も声も涸れ果てたシャーロッテ姫はうず
くまる。
 そんな悲惨な白雪姫に、欲望の残りを向ける手下達。
 「でへへ〜、まーだ生きてるのねン。もうちょっと遊んでやるのねン♪」
 「けっ、おめえもずきだな。ゆうべヤリまぐっだぐぜによお〜。」
 ドワーフ達を抱きしめたままのシャーロッテ姫を押し倒し、後ろから腰を振る小男。
 「そんじゃ、おではまえからだぜ〜♪」
 ドワーフ達を蹴り飛ばしたアンドレは、巨大なイチモツをシャーロッテ姫の口に入れる。
 「ふが・・・ふぐ・・・ううう・・・」
 もはや抵抗できない白雪姫を、2人は容赦無く責める。
 死人に鞭打つとはこの事か・・・いや、そんな生易しいものではないだろう。
 陵辱に勤しむ2人は、この場所に人気が無いものと思いこんでいた。
 しかし・・・森の奥・・・人知れぬ闇の中から、何者かが来るのに気がつかなかった・・
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