魔戦姫伝説(スノウホワイト・白哀の魔戦姫)後編


  第16話  闇に堕ちたシャーロッテ姫・・・
ムーンライズ

 闇に堕ちたシャーロッテ姫の意識は、暗黒の中を漂流している。
 暗黒の中で、シャーロッテ姫の白いドレスと美しい白肌が仄かな光を漂わせていた・・・
 その暗闇の中から、苦悶に満ちた亡者の泣き声が木霊の様に響いている・・・
 
 ここは闇の冥界・・・無数の亡者が屯する無明の世界だ・・・
 生ある時、邪な業を重ね闇に落ちた悪党の魂。その魂が、悲痛な泣き声を連ねて闇を漂
う世界・・・
 
 ――人は、そこを(地獄)と言う。
 
 そこに、シャーロッテ姫の魂は堕ちていた。
 暗黒の闇は、光だけでなく温もりすら奪っていた。
 凍てつく寒さの中、亡者は凍えて震えている・・・
 無数の亡者は、小さな灯りを求めて集まる夜虫の如く、シャーロッテ姫に群がっていく。
 そう、シャーロッテ姫は、漆黒の闇に灯された小さな(慰め)の灯りなのだ・・・
 
 ――余りにも小さくて脆弱で・・・
 
 でも、悪行を重ねた亡者にとっては唯一の(慰め)なのだ、(温もり)なのだ・・・
 我先にシャーロッテ姫に集り、救いを求めて縋りつく・・・
 無数の手が・・・か弱いシャーロッテ姫に縋りつく・・・
 そして、泣きながらドレスを貪った・・・
 
 ――シラユキヒメ・・・シラユキヒメサマ・・・
 
 ドレスが破られ、下着姿になってもシャーロッテ姫は抵抗しなかった。いや、亡者達に
己の身を提供しているのだ・・・
 キャミソールに縋っていた亡者が、壊れたコルセットのバネに弾かれて泣いた。
 
 ――イタイヨオオ・・・イタイヨオオオ・・・
 
 その亡者を、優しく抱きとめるシャーロッテ姫・・・
 
 ――ごめんなさい・・・もう泣かないで・・・
 
 悲しいほどに優しいシャーロッテ姫・・・なぜにそこまで優しくなれるのだろう・・・
 愛深きゆえか?純粋であったゆえか?
 どれだけ苦しもうとも、どれだけ汚されようとも、その優しさは消えない。
 
 ――暗闇に灯された、たった1つの(優しき永遠の灯火)・・・
 
 無数の亡者は、尽きる事無くシャーロッテ姫に群がる。
 スカートは脱がされ、ペチコートが大きく広がる。そのペチコートにもキャミソールに
も、無数の亡者が集っており、(温もり)を求める亡者が下着をボロボロに食い破った。
 
 ――アア・・・ナンテアタタカインダ・・・シラユキヒメノムネ・・・トッテモ・・・
アタタカイ・・・
 
 餓鬼のように痩せ細った亡者が、ピンク色の乳首を赤子の様に吸い、形良く盛りあがっ
た乳房を揉む。
 乳房の温もりは、凍てついた亡者の魂を温め、安らぎをもたらした・・・
 キャミソールもペチコートも無くなったシャーロッテ姫は、ドロワースだけの姿で闇を
漂った。
 そのドロワースの股の割れ目に、白くて可愛いお尻が見えている。
 ドロワースに縋る亡者が、白くて柔らかいお尻に頬摺りして感涙を流す・・・
 
 ――キレイデス・・・シラユキヒメサマノ・・・トッテモ・・・トッテモ・・・
 
 泣きながらドロワースを破り、その美しく汚れない下半身を舐める。無数の舌が、慰め
を求めて尻も太股も舐め尽くす・・・
 
 ――ぴちゃ・・・ぴちゃぴちゃ・・・
 
 暗闇に響く微かな音・・・シャーロッテ姫は、ただただ・・・全てを受け入れていた・・
・
 そして・・・亡者が最も求めるのは・・・
 
 ――母の胎内・・・永遠の温もりを有する・・・安住の場所・・・
 
 シャーロッテ姫の足が広げられ、余りにも純粋で汚れない純白の秘部へと、亡者は群が
っていく・・・
 
 ――シラユキヒメ・・・シラユキヒメ・・・ゴメンナサイ・・・
 
 愛しき姫様を汚す事への謝罪か、亡者は泣きながらシャーロッテ姫を犯した・・・
 
 ――ぷちゅ・・・ぷちゅ・・・
 
 シャーロッテ姫の中に、次々と射精し、そして歓喜の涙を流して亡者は・・・1人、ま
た1人と成仏していく・・・
 
 シャーロッテ姫は、ただ喜びの笑顔を浮べて闇へと堕ちて行く・・・自分が闇に堕ちれ
ば、その分、救われぬ魂が浄化されて行くのだという喜びに満ちて、彼女は闇に堕ちてゆ
く・・・
 
 誰よりも悲しみを知るシャーロッテ姫だからこそ、なんの怨みすらなく、悲しむ亡者を
救う事ができる・・・
 
 全ての亡者が浄化され、やがてシャーロッテ姫だけが独り暗闇に残された・・・
 
 ――終わった、何もかも・・・これでいいの・・・もう・・・これで・・・
 
 一切の希望も温もりも無い漆黒の闇に・・・シャーロッテ姫は堕ちていった・・・
 苦痛は無い・・・ただ・・・余りにも深い悲しみだけが彼女を翻弄していた・・・
 
 ――街のみんな・・・ドワーフ達・・・お爺様・・・もう一度・・・会いたかった・・・
 
 一筋の涙がこぼれ、流れ星のように暗闇を流れる・・・
 もう、誰も彼女を救う者はいない・・・
 はずだった・・・
 
 だが、それは間違いだった。
 流れ行く涙を頼りに、暗闇の上空から1人の人物がシャーロッテ姫を救うべく向ってく
る。
 「シャーロッテーッ!!」
 暗闇を切り裂き、その人物は真っ直ぐシャーロッテ姫を目指してくるっ。
 
 ――だれ・・・ですの・・・?
 
 消え行く意識の中、シャーロッテ姫は見た。
 悲しむ私に笑顔を見せてくれた、あの人・・・無邪気で優しい(少年)の笑顔で、私を
癒してくれたあの人・・・
 その時、はっきりと運命を感じた。紅い糸の伝説が、真実であると確信した。
 
 ――彼こそが、私の救世主・・・ああ、私の愛すべき人っ!!
 
 シャーロッテ姫に追い付いたその人は、暖かい手でシャーロッテ姫を抱きしめ、暗闇の
中から助け出した。
 強き希望の意思を持って、シャーロッテ姫を元の世界へと導いたその人物・・・
 闇に堕ちたる者を救うは、闇の者のみ。そしてその者の名は・・・
 魔界童子ハルメイル・・・




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