荒ぶる欲望の果てに

第11話: 神光寺雅
ミルは鼠の汚らしいものを白い手でやさしく揉んであげていた。
「おおっ!・・なんだなんだおま・・」
「しずかに・・・・」
ミルは空いている手の人差し指を赤い唇の前に一本立てて
シッと呟いた。
「こ、こんどは色仕掛けで俺様をだまそうってのか?・・そのてはくわんぞぉ」
めいいっぱい、突っ張ってみたモノの・・鼠の動揺は隠せない。
ミルがそれに気づかぬはずもない。
事実、鼠の一物は再び勢いを取り戻してきたのだから。
「色仕掛けなど、とんでもない、わたしは商売女ではないのですから・・」
「じゃあ・・なんだというんだ・・・・おおっ・・」
ミルの手の動きが大きくなってきた一物全体を撫で回す。
もたげてきた鎌首を手のひらに包んで刺激を始めた。
「・・・あなたの・・男気に頼りたいのです・・」
「男気ぃ?・・・・」
ミルの手練はお世辞にも褒められたものではない。伝え聞く性の手法のまねごとに過ぎないのだが。
鼠の反応は思った以上のものであった。
というのも生まれついても醜男、町の娼婦も相手になどするはずもなかった。
女をやることは知っていても、女にサービスを受けたことがなかったのだ。
ことばでは拒みつつも、鼠の身体はミルの手中に落ちていたのだ。
「・・おおっ・お・おおっ・・」
「・・・・・・・」
ミルとて初めてのこと、ただ手引き書にあった文言を漏らさず忠実に実行している。
例え鼠が手練れのものだったとしても、素人女のういういいしいサービスに、心を開いてしまうだろう。
「俺はいま猛烈に感動している・・・・・」
鼠が言ったかどうかはわからぬが・・その心境は男なら誰もが持っただろう。
相手は商売女ではない。普段は見上げるだけで、入ることすら許されぬお城の姫君付きの侍女なのだ。
鼠がわだかまりを捨てて、欲望のままに吐き出すまでに時間はかからなかった。
「・・うっ・・」
「おおっ・・おおおおおっ!!」
ミルが鼠の汚らわしい汚物を口に含み、愛らしい舌で舐め始めると、まもなくそれはおこった。
「ううっつ・・うううっつ・・・」
「おおっ・・おおおおおっ!」
鼠がはげしくミルの口に一物を押し込み、はげしく打ち込んだ!!
ミルの手に余る暴力になすがまま・・。
だがそれも長くは続かなかった。
「うおっ!うほっ!ほおおおっ・・」
鼠ははげしくほえるとミルの口の中に一気に欲望をはぜた。
「・・・・・・・」
口の中に生臭いにおいが溢れた。ミルにとってもちろん初めてのことだ。
吐き出したいのをこらえ、手引き書を最後まで実行する。
「く・・うう・・うううん・・・ううん・・」
吐き出しはせずに少しずつ喉へと送り、懸命に飲み込んだのだ。
「・・・・飲んだ・・飲んだのか?」
ミルを見つめて鼠はあきれたように、問いただす。
「まって・・いま・・・う・・・ううんっ・・・」
喉がこくんとなって、ミルがにこりと鼠にうなずいた。
しつこいようだが・・・
「俺はいま猛烈に感動している・・・・・」
それは鼠の恨みにもにた女へのゆがんだ欲望がほんの少し溶けた瞬間だったのかもしれない。いや、このときの鼠は最高に幸せだったのかもしれない。
ミルの顔を見つめて。鼠は言った。
「俺の男気も見せてやろう・・」
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