荒ぶる欲望の果てに

第七話: 神光寺雅
「ああ・・なにをしようというのですか・・・」
俺に担がれたまま。セレナが呟いた。
その声。あのとき聞いた美しい声。二度とお目にかかれないと思っていた。
それが俺の耳に心地よく響いた。
俺は部屋の中を見回す。さっきは気づかなかったドアを見つけた。
俺はにやりと笑ってドアを開ける。
思った通りそこは寝室だった。
「姫様を床に押し倒してやるのはいくらなんでもね・・・」
俺はセレナをベッドに下ろした。
姫は、寝具にくるまって恥じらう。
俺はすぐには襲いかからず、辺りを見回した。そして出口が今はいってきたドアだけだと確認すると、そのドアに施錠した。
振り返ってセレナを見る。びくっと震えて、寝具の中に身を隠す。
俺はけらけら笑ってベッドに寄ると、セレナの体を覆う寝具を一気に引きはがした。
「きゃあ!・・・・・」
セレナはベッドの上で丸くなって、悲鳴を上げた。
あとは俺と視線を合わせようとせず、ぶるぶる震えるだけだ。
「おい・・ずいぶんだな・・俺のことを忘れたと言うんじゃないだろうな?」
セレナは首を振って。
「知りません!あなたのような恐ろしい人がいるなんて・・・そ、その・・・恐ろしい物をしまって」
「おそろしいもの?・・・」
俺はセレナの反応に首をかしげた。あの山小屋で、あれだけの目に遭っておきながらいまさら。
「まあいいや・・山小屋のことは知らぬぞんぜぬって訳だ・・それもいいさ・・これからたっぷり教育してやるからな・・」
俺はベッドに登ると、セレナの上にのしかかった。全身にたまらない感触がよみがえる。
山小屋の薄汚いベッドで、肌着をつけていたとはいえ、むしゃぶりついた感触がよみがえる。
「これだよこれ・・・・お前は忘れていても俺はこの感触を。肌触りを忘れることができない!」
丸くなった身体を、力ずくで引き延ばし、豊かな胸にむしゃぶりついた。
「ああ!いけません!そのようなこと・・あああ」
セレナは全身を震わせて、せつない嘆きをくちずさんだ。

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