愛天使ブランシェ!〜魔法少女リーゼの活躍〜

作:神光寺雅

2
リーゼは洞窟の入り口にやってきた。
「深そうね・・・どこまで続いているのかしら」
元気よく呼び出しては来たものの、初陣なのだ。不安は隠せない。
だが、今までの修行がようやく生かせるというワクワク、ドキドキと、はやる気持ちも抑えられない。
もう一度後ろを振り返った、国王がつけてくれた屈強な兵士たちは完全に迷子になっているらしい。
あたりは小鳥のさえずりが支配するのみ。
「行くしかないのね。巫女様リーゼを見守っていてくださいね!」
自分に言い聞かせ、胸の宝珠をギュッと握った。
おそるおそる・・。洞窟の中に入ってゆく。入り口は狭いのだが、中は思ったより広いようだ。
ひたひたひた・・・
足音を忍ばせ、奥へと入ってゆく。
だが、暗闇の中、リーゼに忍び寄る【あやかし】が迫っていた。
最初それは、地下水がわき出したものかとも思えた。
だが、それはだんだんと広がり、いつのまにか床一面を覆い尽くしている。
青緑に発光するその液体は、明らかに意志を持ってリーゼに迫り、襲いかかろうとしている。
だが、リーゼは気づいていない。
「あら?・・宝珠が光ってる?」
リーゼの胸の宝珠がきらりと光った。やがてぽうっと光を放ちあたりを照らしている。
「え?・・・なに?なんなのぉ・・・・」
宝珠の光が足下に迫る魔物を照らし出した。

ぞわわわわわ〜〜〜!!
「きゃ〜ん!!なによぉ〜なんなのぉ〜!!」
宝珠に照らされ、せり上がってくる【あやかし】、湧き水にしか見えなかった液体が、せり上がり
緑色に染めた体でリーゼに襲いかかろうとした。
リーゼは素早くジャンプして、逃げ出した。
宝珠が光らねば、そのまま取り込まれていただろう。
「魔物?これが魔物なの?」
いったんは取り逃がした【あやかし】だったが、逃げ回るリーゼを追い回す。
ずずずううう・・・・・
「追いかけてくるぅ〜〜しつこ〜い!」
小柄なリーゼは【あやかし】の執拗な追跡から逃げていくうちに、だんだんと洞窟の奥へと入り込んでいった。
「あ、あれっ?あれっ?・・いきどまり〜!!!」
出口に向かっていたつもりのリーゼは、やがて行く手をふさがれてしまった。
すでに周りは緑色の【あやかし】が取り囲んでいる。
ずずっずずずううう・・・・
【あやかし】がせり上がってきた。
「きゃあ!やあぁぁぁ・・・・」
そして【あやかし】はリーゼに襲いかかり包み込んでしまった。
リーゼ絶体絶命である


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