みだら人形(第9話)


「いやあ・・・・だめだってば〜」
英里子は男の手をふりほどこうとする。
だが、体は全く動かない。
「だめえ・・・。身体が動かない・・・」
声さえ出すことはできない。本当に人形(コッペリア)の様に男の手の中で玩具にされて
いる。
いい機嫌の男に人形師が近づいて、耳元でささやいた。

「お部屋の用意ができていますよ。もうお二人は既に後の二人をいただいたようです」
その声に、男はちぇっとつぶやいておいて。
「まあいいや、一番のお宝は手に入ったんだから・・・」
「全て手はず通りです。お手当をはずんでいただきませんと」
「しっかりしてるぜ・・・」
男と人形師はにやにやと笑った。




その会話は当然英里子の耳にも届いていた。 「後の二人って?まさか、ゆかりとかおり?いただいたって?どういうこと?」 いつのまにか消えていたゆかりとかおりのことが急に気に掛かった。 だが、身動き出来ない英里子にはなにひとつ出来はしない・・・。 「さて、俺たちもたのしもうか?」 そういうと、男は英里子を軽々と持ち上げて歩き出した。 さっきまで人形が立てかけてあった(それはピエロ達だったのだが)壁が開いて、部屋が 現れた。 そこはベッド一つが置かれたうすぐらい部屋、奥にも色々あるようだが暗くて よく見えない。 男は、英里子をベッドの上におろすと部屋の入り口を閉め、自分の服を脱ぎ始めた。 「や、やだ・・・・・」 トレーナーにジャージという汚らしい格好の男が、目の前で脱ぎ始めた。目をそらそうに もやはり身動き出来ない。瞼さえ閉じることができない。 汗くさい体臭が閉め切った部屋に漂い、鼻をつまみたくなる。 やがて、男が全て脱ぎ終わった。 その姿に、英里子は悪寒にも似た恐怖を感じ得なかった。 「う、うそお・・・・・」 「どうだ、似合うだろう?」 男はぎらぎらと汗にまみれた突き出た腹の下に白いタイツを穿いていた。それも男性バレ リーナが穿くタイプのモノではなく。女性の穿く薄手のモノだ。 それを、下になにもつけずに穿いているものだから、タイツの前は勃起した性器がおぞま しく膨らませている。隠すどころか、逆にいかがわしさを増しているようだ。 「・・・・・いや、いやああ・・・・・」 英里子は、ひたすらおびえ、なきさびたくなった。

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