みだら人形(第2話)



太った男が自慢そうに話し始めた。
「実はこの3dに使ったデータを元に人形を作ってるんだよ」
「人形?1/6のヤツか?」
「そんなモンじゃない・・・」
「てえとあれか等身大?」
「まあ見てろ・・・」
太った男がファイルを開く。そこにはあの後援会での英里子の写真だ。
いや、少し違う・・・・。英里子の周りには古びた人形が並んでいる。
ステージでも、控え室でもなさそうだ。
「これ?これほんとに人形なのか?・・・・」
「ああ・・・この町には俺の伯父がいる。ただコイツが変わり者で人形作家になるとか言
ってたんだが。実際の所個人オーダー専門のダッチワイフを作っているらしいんだ。それ
も高級なヤツを・・・・」
「なるほどねえ・・・・」
「まあ、本物をやりたいのは山々なんだが。その前にこれで・・・・」
二人の男が食い入るように見つめた。
「まあ、誰かみたいに犯罪行為をやってまでやりたいというなら別だが・・・」
太った男が痩せぎすの男につぶやいた・・・。
「なっ・・・・・」



英里子は街を外れ、住宅街へと入っていく。 「ちょっとどこまで行くのよ・・・」 かおりがびっくりしたように言う。 「もう少し、もう少し・・・・」 ぺろっと舌を出して、かおりの手を取っていこうとする英里子にゆかりの足が止まった。 「あたし帰る・・・・」 「なんでよお!折角面白いものを見付けたのに・・・・」 ゆかりはうつむいたまま脚をとめる。 「ゆかり・・・まさかここ・・・」 かおりがゆかりの表情をくみ取った。 あたりはすっかり春めいて小鳥のさえずりが響いている。住宅街の中に木立に囲まれた小 さな公園がある。平日ということもあって人影はなく、静寂そのものだった。 「犯罪行為ってなんだよ?」 もう一人が不思議そうに二人の顔を交互に見つめる。 「何で知っている?」 痩せぎすの男がすごんだ。 だが、太った男は待ってましたとばかりまくし立てる。 「おまえ、例の強姦掲示板に自慢げに書き込んでたろ。あそここっそりとログを取ってる んだよ。あのゆかりって子をやったと書いてあったけど未遂だったんだろ・・・」 「あいつら喋ったのか?」 「まあな・・・・」 痩せぎすの男は黙ってしまった。 「まあいいさ、でも、ビデオ撮りしたって話はほんとか?」 「ああ・・・」 その返事に太った男はにっこりと笑った。 「口止め料な・・。今も持ってるんだろ。そんな物携帯してないと見付かったら事だから な・・・」 「あ、ああ・・・」 痩せぎすは仕方なく自分のバックの中からCD−ROMを抜き出す。 一年前。入学前に入寮手続きを済ませたゆかりはこの街に留まっていた。 都会とは違い静かなこの町がゆかりはすっかり気にいってしまった。 ひとりで街並を歩いたりあちこちと探索する事が多くなった。 ある日、道に迷って住宅街に迷い込んだゆかりは、今いる場所で襲われた。 同じように3人の中で最初のこの街に来ていた痩せぎすの男は、街を美星女子の制服を着 て自慢げに歩くゆかりの姿を見付け、ストーカーのごとく(実際ストーカーだが)後を付 けていた。街の不良に金を払い。チャンスを狙っていたのだ。 ゆかりは3人がかりで公園のトイレに連れ込まれた。あたりには誰もいない。悲鳴を上げ てもなんの効果もなかった。実際にはゆかりは恐怖のあまり声をあげることはできなかっ たのだが。 痩せぎす男のビデオには、その時の様子が克明に録画されていた。最初は歩いているゆか りの姿が移される。風になびく短いスカート。そこから覗くすらりとした脚、長い黒髪、 そして申し訳程度に膨らんだ胸。 美少女の用件を総て満たしたゆかりの姿だ。 悲鳴をあげるまもなく、髪を染めた男達に取り囲まれて公園のトイレに連れ込まれる。 障害者用と書かれた個室に連れ込まれたゆかりは恐怖に震える。 「ちっくしょう!かわいいじゃねえか」 「たまらねえ!俺達がツッコミをやりたいぜ!」 「おい!くだらねえ事言ってないで、さっさと脱がせ!」 痩せぎす男の声が響いた。 「ひゃほう!」 ズボンの前をもっこりと膨らませ、奇声を上げた若い野獣がゆかりに飛びかかった。 「ひっ!」


ゆかりが小さな悲鳴を上げた。あっという間に制服の前は開かれ、ブラウスも引き裂かれ た。白い肌に、今時珍しい純白のスリップがあらわれた。胸の薄いゆかりにはこれで充分 だった。 「・・・・すげえ、お嬢は違うぜ・・・・」 感心しながらも手は止めない。 短いスカートを捲り上げると、純白のショーツを引き下ろした。 抜けるような白い肌。染み一つない艶やかな下腹部には僅かばかりの茂みがあった。 「・・・・いつでもやらせるコギャルとはひと味違うって感じだ・・・・」 事を終えた不良どもがゆかりを見つめている。その息は荒くズボンの前はぱんぱんに張り 切っている。 「よ、ようしお前らはでてろ、そして見張っていろ・・・」 「それはせっしょうってんもんす!」 「言うことを聞かないと金はやらんぞ・・・・」 その言葉にしぶしぶ不良達は表にでた。 ゆかりは、トイレの床にペタンと腰を下ろしている。恐怖のあまり腰が立たなくなったら しい。スリップ一枚の胸を手で隠し、必死に脚を閉じている。 痩せぎす男は、床に落ちていたゆかりのショーツを拾い上げるとくんくん臭いをかいだ。 「これがゆかりちゃんの臭いか・・・・」 ゆかりは、その姿に耐えられずに目を伏せた。 「さて」 チャックを下げる音がする。そして絹ずれの音が。その音に目を上げたゆかりは。 大きな悲鳴を上げた 「いやつ!いやあああ!」 だがそのとたんに、画面が暗転する。 カメラが床に落ちたのだ。 痩せぎす男は、不良達に襲いかかられ崩れ落ちた。 やがてカメラは野獣どもの乱行を映し出す。 だが幸いにも、ゆかりの悲鳴に人が駆けつけ。ゆかりは事なきを得たのである。 だが、ゆかりのショックは大きかった。 「ばかやろう!だね」 英里子が怒り出した。 「そんな奴らをのさばらしてるなんて・・・・」 英里子の言うのはもっとである。 「でもねスワニルダだって気をつけないと・・・・」 かおりが英里子をなだめる。 「わたしがなによ!」 「あのね、この街の若い男の子は、みんなスワニルダが好きなの・・・」 「それはいい事じゃない!」 「でもね、若い男の子ってみんなHなんだから。スワニルダのその・・・」 「そのなに?」 「チュチュのツンとか、レオタードの写真とかで・・ ・その、オ、オナニーしてる子もいるって話だし」 かおりは真っ赤になって言う。 英里子も少し頬を赤らめたが。 「そんなこと言ってたらバレエなんかできないじゃない!」 「判ったこの道は通らない!向こうを回っていこうよ!」 そう言って英里子はさっさと歩いていってしまった。 かおりもゆかりもしょうがなくあとをついていった。

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